2011 Fiscal Year Research-status Report
ニコチンが血管内皮細胞を介し骨吸収を促進することを証明する
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23593099
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
廣瀬 公治 奥羽大学, 歯学部, 教授 (10218836)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯周病 / 喫煙 / 血管内皮細胞 / 骨吸収 |
Research Abstract |
喫煙が歯周病のリスクファクターであることが広く知られている。これら知見を支える基礎的研究において歯周病の典型病変である骨吸収を喫煙が直接増強するという結果は報告されていない。そこで本年度における研究では、血管内皮細胞に対するニコチンの作用をin vitroにおいて検討を行った。 血管内皮細胞(HUVEC)に対しニコチンを10~1000mMの濃度で添加し、10分~24時間培養を行った。培養終了後、細胞からTotal RNAを回収し、RT-PCRにて骨吸収因子及び炎症性サイトカインのmRNA発現の解析を行った。 その結果、ニコチンはHUVRCからのRANKLのmRNA発現をニコチンの濃度依存的に促進した。一方、これとは反対にOPGのmRNA発現を抑制した。ニコチン受容体のアンタゴニストであるツボクラリンをニコチンの同時にHUVECに添加しその効果を検証したところ、ツボクラリンはニコチンの作用を完全には制御することができなかった。そこで、ニコチンが誘導した培養上清中のサイトカインがオートクリンの系を介しRANKLとOPGのmRNA発現を制御している可能性を検証するため、IL-1、TNFに対する抗体を用いたinhibition assayを行った。その結果、ツボクラリンと同様、完全にニコチンの作用を制御することはできなかったが、ニコチンは細胞の受容体へ結合するのみならず、炎症性サイトカインによるオートクリン機構をも動員して骨吸収を促進する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度においては、血管内皮細胞におけるニコチンのシグナル伝達バイパス経路を明らかにすることを目標とした。すなわち、ニコチンのアンタゴニストであるツボクラリンではニコチンの効果を完全抑制できないことが示された。そこで培養上清中に産生されたサイトカインによるオートクリンによる経路を考え、抗体を用い検証したところ、そのバイパス経路が確認できた。このことから、当初目標を概ね達成したものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
各種阻害剤を用いたシグナルトランスダクションの検証を行うとともに、歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalisのリポ多糖と線毛によるニコチンとの相乗効果を、特にAP1/JunとIkBに着目し検索する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬、組織培養用培地、組織培養器具などの消耗品費として使用します。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] .: Anti-cell-associated glucosyltransferase immunoglobulin Y suppression of salivary mutans streptococci in healthy young adults.2011
Author(s)
Nguyen,VS., Icatolo,FC., Nakano,T., Isogai,E., Hirose,K., Mizugai,H., Kobayashi,M., Isogai,H., Chiba,I.
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Journal Title
J. American Dental Ass.
Volume: 142
Pages: 943-949
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