2013 Fiscal Year Annual Research Report
ニコチンが血管内皮細胞を介し骨吸収を促進することを証明する
Project/Area Number |
23593099
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
廣瀬 公治 奥羽大学, 歯学部, 教授 (10218836)
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Keywords | 歯学 / 細胞 / 歯周病 |
Research Abstract |
喫煙が歯周病のリスクファクターであることが知られている。しかしながら歯周病の典型的症状である骨吸収を喫煙が促進することを示す直接証拠は少ない。そこで、ヒト血管内皮細胞に対するニコチンの作用を、骨代謝に重要な役割を果たしているOPGとRANKLに着目し検索を行った。血管内皮細胞はヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)を用いた。HUVECにニコチンを作用させ、HUVECからRNA等を回収しOPGとRANKLの発現動態検索の試料とした。その結果、ニコチンはHUVECにおけるOPGのmRNA発現を抑制したが、これとは反対的にRANKLのmRNA発現を促進した。このことは、ニコチンが血管内皮細胞を介し骨吸収を促進させることを示唆する。そこでこのニコチンによるOPG/RANKLのmRNA発現動態の詳細を調べるために、ツボクラリンをニコチンと同時添加して検索を行った。その結果、ニコチンの作用を完全に抑制することはできなかった。 次にニコチンによるOPG/RANKLのmRNA発現に対するシグナルトランスダクションを調べるためにMAPKおよびPKCインヒビターを用い検討を行った。その結果、ニコチンによるHUVECからのRANKLのmRNA発現はSB203580により抑制された。このことから、HUVECにおけるRANKLの発現はp38が関与している可能性が示された。 一方、ニコチンによるRANKLのmRNA発現において炎症性サイトカインの関与が示唆されていることから、ニコチンによりHUVECからのinterleukin-1(IL-1)産生が促進されているか否かの検索を行った。その結果、ニコチンはHUVECからのIL-1産生を促進する傾向が見られた。以上の結果から、ニコチンによるRANKLの発現促進はIL-1のオートクリンの系を介し、一部p38MAPKの関与により制御されている可能性が示された。
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Research Products
(3 results)