2012 Fiscal Year Research-status Report
歯周病原性細菌の細胞内侵入に及ぼす口腔内連鎖球菌の影響
Project/Area Number |
23593100
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
竹下 玲 明海大学, 歯学部, 准教授 (70236454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 和彦 明海大学, 歯学部, 准教授 (50271234)
高野 安紀子 明海大学, 歯学部, 講師 (20337504)
安井 利一 明海大学, 歯学部, 教授 (20146252)
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Keywords | P. gingivalis / 細胞内侵入 / サイトカイン / IL-6 / MAP kinase |
Research Abstract |
Cell line化されたヒト口腔上皮細胞様細胞KB細胞にP. gingivalisを感染させることによりIL-6等の炎症性サイトカインが誘導されることを、Northern blot assay法で確認している。即ち、P. gingivalisは、KB細胞のIL-6遺伝子発現を強く誘導し、その誘導作用は、細胞培養の培地に抗生剤を添加することによって、細胞外の本菌を殺滅しても、消去されなかったことから、細胞内への親友が関与する可能性を考えた。実際、本菌の精製LPSを作用させても、そのサイトカイン発現は誘導されなかった。また、本菌の細胞内侵入を抑制すると報告されている物質(細胞内侵入阻害剤)であるMonodansylcadaverine、 Ouabain、 Colchicines、Cytochalasin D、並びにNocodazoleは、P. gingivalis誘導性IL-6発現を強くブロックする結果を得た。これらの知見から、歯周病原性細菌P. gingivalisは、口腔上皮細胞内侵入することによって、IL-6を誘導することが示された。さらに、このIL-6の遺伝子発現の情報伝達経路について検討する目的で、MAP kinaseの阻害剤を使用した。その結果、p38の阻害剤であるSB202190が,IL-6遺伝子発現を強く抑制することが明らかとなった。また、KB細胞において、p38の活性剤であるanisomycinが、IL-6遺伝子発現を強く誘導した。これらのことから、P. gingivalis細胞内侵入によるIL-6発現の誘導には、p38が強く関与することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機器の不具合や培養の不具合のために、実験の進行が思うに任せない状態が続いた。また、研究代表者の置かれている状況に変化があったためと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
2012年度の研究を、順調にすすめることが難しかった。遅れている研究内容を取り戻せるように、2013年度は、「P. gingivalis とS. oralisの共凝集が口腔粘膜上皮細胞への付着・細胞内侵入に及ぼす影響についての研究」を行うことを企画している。即ち、Cell line化されたヒト口腔上皮細胞様細胞KB細胞やHSC-2細胞にS. oralisとP. gingivalisを感染させ、P. gingivalis の細胞付着能と細胞侵入能について検討するための予備的実験として、S. oralisが細胞にどのような作用を示すかについての基本的な検討を行う。また、S. oralisの研究が推進できなかった時には、P. gingivalis によるIL-6の遺伝子発現に関する情報伝達機能を解析するために、様々な阻害剤の作用も検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度の研究を、順調にすすめることが難しかったので、遅れている研究内容を取り戻せるように研究を進める予定である。そこで、「次年度の研究費の使用計画」は、物品費に使用することが中心となる。また、その物品費は、消耗品の購入が中心となる予定である。
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