2012 Fiscal Year Research-status Report
食品成分誘導エピジェネティック制御による歯周炎予防法の開発
Project/Area Number |
23593104
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
津田 啓方 日本大学, 歯学部, 助教 (60325470)
|
Keywords | エピジェネティクス / 骨破壊 / 予防法 |
Research Abstract |
本研究では、エピジェネティックな破骨細胞分化制御の分子機構を解明し、戦略的な歯周炎骨破壊予防法の開発に重要な基礎的情報を得ることを目標としている。昨年度までにヒストン脱アセチル化阻害剤である酪酸、およびヒストンメチル化酵素G9aの阻害剤であるBIX01294でRaw264.7細胞を処理するとRANKL誘導破骨細胞(TRAP陽性、多核細胞)形成が抑制されることを発見した。また、破骨細胞分化抑制遺伝子の発現がRANKL刺激により著しく抑制され、酪酸処理により、濃度依存的に回復される事が認められた。 本年度は破骨細胞分化の指標であるCarbonic anhydrase IIやCathepsin K、および破骨細胞分化マスター転写因子であるNFATc1がRANKL刺激によりタンパクレベルで誘導され、BIX01294処理で濃度依存的に抑制される事を発見した。G9aとは違うヒストンメチル化酵素であるSuv39h1を特異的に阻害するChaetocinの破骨細胞形成に及ぼす影響も併せて試してみたところ、RANKL刺激により誘導された破骨細胞形成、Carbonic anhydrase IIやCathepsin Kの産生量はChaetocinの作用により濃度依存的に抑制された。RANKL刺激によるいくつかの破骨細胞分化抑制遺伝子の発現抑制は、Chaetocinの作用により濃度依存的に解除された。現在のところ、破骨細胞分化抑制遺伝子産物のうち、V-maf musculoaponeurotic fibrosarcoma oncogene homolog Bに関してはタンパクレベルの回復をウエスタンブロット実験で確認出来ている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
使用している細胞の遺伝子導入効率の悪さ、および、遺伝子導入に使用する試薬が破骨細胞分化に影響を及ぼすため、評価するための条件決定に時間がかかっている。また、RANKL刺激で発現が抑制された破骨細胞分化抑制因子は多数あるので、どの因子が関わっていくかを同定するのに時間がかかっているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
RANKL刺激により発現が抑制され、ヒストンメチル化阻害剤によりその発現が回復した破骨細胞分化抑制因子のsiRNAを細胞内に導入し、RANKLとヒストンメチル化酵素阻害剤を同時に作用させたときに破骨細胞分化の誘導が起こるかどうかを調べる。また、RANKL刺激で抑制された破骨細胞分化抑制因子は多数あるので、その中で、どの因子が重要かを特定する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度は900円程残余金が出たが、これは購入した試薬等が予想以上に割り引き等で安く手に入ったために生じた。 今後の計画を進める為には、リコンビナントRANKLやトランスフェクション試薬、siRNA等の購入など、高価な消耗品の購入が必要である。よって、試薬等の消耗品の購入が多くなることが予測される。よって、残余金900円はこちらの購入に使用する事とする。また、研究成果を学会で発表し、論文を作成・提出する。このため、旅費や英文校閲料が必要となる。
|