2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23593105
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
青木 伸一郎 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (60312047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 孝訓 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (50176343)
梶本 真澄 日本大学, 松戸歯学部, 助手(専任扱) (10445736)
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Keywords | リハビリテーション |
Research Abstract |
欠損部の補綴処置は身体面や行動面が変化すると言われている。特に、義歯治療では、治療前後の変化が大きいことからQOL変化も大きいと考えられているが、統一された見解は得られていない。そこで、義歯装着直後と義歯調整が終了し、義歯安定を確認後、約1ヶ月および3ヶ月経過した時期における認知機能の変化を検討するため認知情報処理過程を反映するP300潜時・振幅を用いて咀嚼機能の改善と各期間での認知機能との関連について検討を行った。被験者は、大学付属病院に来院している65~84歳の患者(平均年齢71歳)7名である。口腔内は、疼痛を有する歯や進行した歯周疾患がないものとし、義歯の不具合による変化を防止するため、患者に歯科QOL検査であるGOHAIを行わせ、各期間で大きな変化がない患者を対象とした。脳波測定は、課題をストループ課題とし、課題遂行時の頭皮上から導出された電位変化を測定した。 測定した結果、情報処理時間を表すP300潜時は新義歯装着直後が384ms、安定後1ヶ月が404ms、安定後3ヶ月が443msで各期間に有意差は認めず、徐々に延長する傾向であった。また脳の情報処理容量を表すP300振幅は新義歯装着直後が9.4μV、安定後1ヶ月が15.1μV、安定後3ヶ月が10.8μVであった。新義歯装着直後と安定後1ヶ月の間では有意差を認めたが、安定後1ヶ月から安定後3ヶ月にかけて有意差は認めなかった。処理容量は、安定後1ヶ月をピークとして作成直後から1ヶ月は増加を認め、その後減少していき、安定後3ヶ月では、ほぼ安定後1ヶ月に近づいた数値であった。 今回の結果から、咀嚼機能の改善により処理時間は延長傾向であったが、処理容量は変化を認めた。このことから咀嚼機能の改善が認知機能の変化を与えることが推察された。
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