2011 Fiscal Year Research-status Report
摂食嚥下機能維持を目的とした精神神経疾患に対する薬物動態/薬力学的検討
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23593108
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
菊谷 武 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (20214744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 宜明 日本大学, 薬学部, 教授 (10199896)
小野 真一 日本大学, 薬学部, 教授 (20246862)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 摂食・嚥下機能 / 薬物動態 / 薬力学 |
Research Abstract |
【目的】在宅療養中の者の服薬状況と嚥下機能、栄養状態との関連を検討した。【対象と方法】在宅療養中の156名(男性64名、女性92名)、平均年齢82.0±9.5歳(男性79.6±10.0歳、女性83.5±9.0歳)であった。調査対象者の居宅において、対象者の基礎情報、ADL、服薬状況について、口腔内状態、口腔機能についての調査した。【成績】嚥下障害を示したものは69名であった。嚥下障害を示した者と示さなかった者の年齢に有意差は認められなかった。(嚥下障害あり:82.9±8.7歳、なし:81.3±10.2歳)、ADLは嚥下障害がある者は有意な低値を示した(p<0.01)(嚥下障害あり:72.3±24.2、なし:46.7±29.2)。BMIは嚥下障害がある者は有意な低値を示した(p<0.05)(嚥下障害あり:23.2±4.1、なし:21.6±3.7)。向精神薬または抗精神病薬を服用している者は、49名であった。服薬のある者とない者で年齢、ADL、BMIに有意な差は認められなかった(年齢、嚥下障害あり:83.0±9.6歳、なし:80.0±9.1歳、ADL、嚥下障害あり:58.1±31.7、なし:60.9±25.1、BMI、嚥下障害あり:22.5±4.1、なし:22.0±3.7)。服薬のある者のうち、嚥下障害がある者の割合は、63.3%、服薬のない者のうち嚥下障害のある者の割合は、46.7%であり、分布に有意な差が認められた(p<0.05)。【結論】在宅療養中の者に多くに嚥下機能の低下した者が認められ、それらの者はADLが低下し、低栄養を示すものが多かった。さらに、約3割の者が向精神薬または抗精神病薬を服用していることが明らかとなり、これらの者は嚥下機能の低下を示している者の割合が多かった。在宅療養中の高齢者の嚥下機能には服用薬剤が何らかの影響を示している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実際に研究を進めていく上で、当初23年度分に記載のあった生化学血液データ取得が必要でないと判断した為に行っていないが、おおむね計画通りの進行状況であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で用いるパーキンソン病の患者の嚥下評価の客観的評価であり、われわれが独自に考案した内視鏡検査時の改良型Simple Swallowing Provocation Test ( 改良型 簡易嚥下誘発試験 )の妥当性の検討を行うともに、分担研究者である小野の関連する医療機関より、重度認知症患者またはパーキンソン患者の参加を求める(両患者とも各20 名)。対象者より、抗パーキンソン病薬や向精神薬などの内服後の薬物の経時的な血中濃度の変化を測定する。これらに加え薬物の作用として、パーキンソン病の臨床症状は、Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (UPDRS) を用い、中でも日常生活動作や運動能力検査の項目を評価する。また、認知症に見られるBPSD をTroublesome Behavior Scale(Asada T, et al. Alzheimer Dis Assoc Disord 1999;13:202-8)を用いて行う。摂食・嚥下機能に関する評価(水のみテスト、頸部聴診法、フードテスト SSPT VE VF)を行い、摂食・嚥下機能の日内変動の有無と状況,食事の際に認められる臨床症状を参考に評価を行う。対象者の体重など基本情報とともに、血液生化学的データを用い、薬剤の代謝等に関連する腎機能、肝機能を指標とする。これら、薬物動態と薬効に関連する因子と服用薬剤、嚥下機能との関連を明らかにするとともに、嚥下機能を悪化させる要因を分析する。また、モデリング&シミュレーション(M&S)構築のための準備を行い上記調査より得られたデータの解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、我々の考案した改良型簡易嚥下誘発試験に関するデータの蓄積を行い、パーキンソン病患者に対するパーキンソン病薬の摂食嚥下機能の評価のために、東京都内医療機関にて患者の薬物動態、薬効解析とともに摂食嚥下機能の評価を行う。研究経費としては昨年度購入した解析システムを運用する。嚥下機能評価のための消耗品(Medtronic社製、チャンネル付きエンドシース)などの購入、データ採取のための交通費、データ保管のためのハードディスクの購入、論文発表のための校閲費を使用する。
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Research Products
(2 results)