2013 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分と齲蝕原性バイオフィルム及びαグルカンの相互作用に関する研究
Project/Area Number |
23593118
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Research Institution | Iwate Biotechnology Research Center |
Principal Investigator |
矢野 明 公益財団法人岩手生物工学研究センター, 生物資源研究部, 主席研究員 (50312286)
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Keywords | αグルカン / ミュータンスレンサ球菌 / カンジダアルビカンス / バイオフィルム / 菌糸 |
Research Abstract |
これまでグルカン固定相を使用して、グルカンとミュータンスレンサ球菌及び口腔常在菌との相互作用、さらにこれらの相互作用に影響する食品成分の機能評価を目的とした研究を実施してきた。予想外にグルカン固相への強い定着を示した口腔常在細菌はミュータンスレンサ球菌のみであった。一方、口腔常在微生物である真菌(カンジダアルビカンス)はグルカン固相上に定着した。カンジダアルビカンスはRPMI1640培地やSpider培地、最小培地等の貧栄養培地による37℃培養条件下では、菌糸を伸長させる。菌糸は細胞表面に付着因子を発現しており、単なるプラスチック表面やシリコン、あるいは義歯等に使用される樹脂表面に付着してバイオフィルム形成を促進すると考えられている。カンジダは菌糸形成培養条件下において、グルカン固相上にも容易に付着し、バイオフィルム形成を行った。カンジダはミュータンス菌と同様に、酸性条件で良く増殖することから、齲蝕部位がカンジダの温床となる可能性も示唆される。 研究事業においてカンジダアルビカンスの菌糸伸長を阻害する食品成分について、地域農林水産物より探索を行った。水産物として、マナマコ、ホヤ、フジツボ、オキアミ等を評価したところ、マナマコには殺菌的な抗真菌作用、ホヤの抽出物、およびホヤの加工食品に抗真菌作用を見出した。マナマコについては既報のホロトキシンが抗真菌作用の主因子であり、主に他の事業にてヒト臨床試験を実施した。ホヤについては脂溶性成分に強い菌糸抑制作用を見出し、脂肪酸が有効成分の一つであると予測された。農作物としては穀物抽出物中に菌糸伸長を阻害する活性を見いだした。各抽出物は菌糸伸長を阻害すると同時に、病原因子として知られる付着因子(Als3, Hwp1)等の発現抑制を確認した。それぞれの素材中の有効成分は複数存在するとみられたが、その一部は遊離脂肪酸であると推測された。
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Research Products
(2 results)