2012 Fiscal Year Research-status Report
情報プライバシーに配慮した患者情報の共有と保護のあり方に関する研究
Project/Area Number |
23593128
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
新實 夕香理 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 講師 (20319156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 勝正 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60194156)
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Keywords | 電子カルテ / 情報プライバシー / 情報共有 / チーム医療 |
Research Abstract |
本研究の目的は、患者の情報プライバシーに対する認識と医療職種間の情報共有の必要性のバランスがとれた電子カルテ上の患者の個人情報の表示方法を提示することである。 平成24年度は、昨年度に完了できなかった調査の続きを実施した。具体的には、調査対象を看護師、医師の他に薬剤師、理学療法士などのメディカルスタッフとし、プライバシーに関わる情報に焦点を当て、それぞれの職種について情報の必要の程度を明らかにすることを目的とした。医師は個別に、それ以外の職種は小グループでのインタビューと、質問紙調査を実施した。その結果、どの職種であっても必要度の高い情報は、治療関連情報の病名、現病歴、患者属性情報の氏名、年齢・生年月日であった。ほぼすべての情報項目で自分自身よりもチーム医療における必要度の方が高得点になっており、多職種協働を考慮すると患者情報の共有範囲が広がりを示していた。また、患者のプライバシー意識に基づくプライバシー保護に対する意向を尊重し、電子カルテの表示を部分的に非表示にした場合に5つの問題が生じることが示された。これらの問題は電子カルテのメリットとして一般的に示されているものが多く、医療職においてプライバシー保護という理由で一旦でも非表示になることに対して、十分な理解が得られなかった。今後は患者のプライバシー保護を情報の種類、職種とその業務内容によってコントロールできる基準の整理が必要である。 次に、これまでの調査結果をもとに、実際に画面の切替えによって患者情報の見せ方が変えられる電子カルテの模擬画面を用いた調査を計画した。そのための手続きを開始し、倫理審査委員会の承認を得た。 この他、11th International Congress on Nursing Informaticsへの演題発表を通じて参加者から有用な意見を得ると共に、諸外国の状況について情報収集等を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビュー調査に向けて模擬画面の作成準備を進めていたところ、医療職者が実際によく閲覧している患者情報画面についての情報が得られてないことがわかった。この問題に対処しないまま準備を進めてしまうと、模擬画面の操作方法にリアリティ感がなくなり、目的とする意見が集められなくなってしまう。このため、まず現場の医療職者から情報を集め、それを反映させながら画面の作成を継続することにした。この手続きを加えたことで予定よりもやや遅れて開始することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度中に倫理審査の承認までが得られ、当初計画からやや遅れているが、平成25年8月までに調査が完了するように、早急に調査依頼をし、協力の得られた施設での調査を順次進められるように計画している。 また、平成25年度に開催されるICN 25th Quadrennial Congressに参加し、研究課題に関する最新情報の収集を行う。さらに、medinfo2013において研究成果の一部を発表するとともに、研究課題に関する発表にて医療情報学および看護情報学の専門家らと意見交換をし、研究課題に資する知見を得ることを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インタビュー調査の開始が遅れたため、本年度に計上していた物品費、国内旅費、データ整理の謝金などの予算を平成25年度に使用することを予定している。 また、平成25年5月に開催されるICN 25th Quadrennial Congressへの参加、および8月に開催されるmedinfo2013での成果発表のために予算を執行する。
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