2012 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の姿勢制御に関わる足趾機能の改善にむけた足ケア法の検証
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23593132
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 育美 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30273204)
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Keywords | フットケア / 爪切り / 看護技術 / 歩行機能 / 身体活動 / 高齢者 |
Research Abstract |
本研究の目的は、足部の問題を抱える高齢者に提供される足ケアの身体的効果を、足部の形状改善のほか、機能性の向上といった運動力学の評価とともに、転倒予防という視点から日常の生活活動の質に関する側面を加え解き明かしていくことである。そこで、平成23年度の課題を受け平成24年度では、①高齢者への足ケア介入に対する有用かつ感度の高い成果指標の特定と、② 施設利用高齢者への足ケア介入の効果検証への取り組み開始を計画として挙げた。 《成果指標の検討》足ケア介入に対する有用かつ感度の高い成果指標を特定することを目的に、エキスパート看護師120名を対象に、デルファイ法を用いた調査を行った。その結果、成果指標として身体的・認知的・行動的の3つの側面から項目が得られた。その中で身体的指標としては、皮膚状態と爪状態の2群からなる14項目が抽出された。この結果を第9回欧州看護診断・介入・成果学術大会(ACENDIO 2013)にて報告するとともに、ケア介入の評価指標として取り上げていくこととなった。 《施設利用高齢者のフットケア介入ベースライン調査》施設利用高齢者へのフットケア介入を実施するにあたり、ベースライン調査として、1老健施設に入所している全高齢者132名〔女性103名(78.0%),平均年齢 87.7歳〕を対象に、足の状態およびセルフケア能力に関する実態調査を行った。その結果、皮膚乾燥 73.4%,爪肥厚 68.9%,足の変形 47.7%であり、すべての高齢者においてフットケアの提供が必要となる足の状態が何らか1つは存在していることが確認された。その一方で、セルフケアが自立している高齢者は、わずか11.4%であった。 以上より、足ケア介入に対する成果指標を得るとともに、施設利用高齢者において、ほぼ全員においてフットケアが必要とされる足の状態であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、前年度において追加計画として見いだされた成果指標の特定に取り組むことが課題となっていた。この課題は、本研究の目的となる介入に伴う変化を的確に評価していくためには、必須作業と位置づけられる。今年度において、成果指標となりえる項目を抽出することができ、それをもとに次なる段階の取り組みにつなげることができた。今年度においては、順調な進展となっており、当初の目的達成に向け着実な進行具合である。しかし、申請時の計画に掲げたケア介入の検証までには至っておらず着手に留まっているため、全体的な達成度としては「やや遅れている」と評定した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度末時点までの進捗として、介入検証までを計画に挙げていたが、使用可能な指標の確認作業とともに、足ケア介入の始動に向けた施設準備および介入への着手に留まった。次年度は、的確候補者に確実にフットケア介入を実施していくとともに、データ収集が完了でき次第、分析作業への取り組みが可能なように、データ入力体制の整備を中心に対処していくこととする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は第2段階の介入検証までを計画に挙げていたが、前年度に見いだされた課題への取り組む必要があったため、足ケア介入への着手の段に留まった。それに伴い、研究費予算のうち、実験補助者用の謝金の執行が一部となり、その分を次年度へと繰り越すこととなった。次年度は、足ケア介入への継続的な取り組みとともに、実証のための分析作業となるため、繰り越された研究費を当初の計画どおり使用していく予定である。
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Research Products
(1 results)