2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23593133
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西村 ユミ 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (00257271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 泰樹 東海大学, 総合教育センター, 准教授 (00338740)
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Keywords | 看護場面 / 協働実践 / 急性期病棟 / 現象学 / エスノメソドロジー / 看護管理 |
Research Abstract |
H23年度に引き続き、H24年度は総合病院において2週間のフィールドワーク、及び縦断的に個別インタビューを行った。フィールドワークは、看護管理部門及び呼吸器循環器内科病棟において行った。看護管理部門では、看護部長、及び3名の副看護部長に同伴しつつ管理の実践を観察した。観察時に気になったこと等々について、非構造化インタビューを行った。看護部主催の師長会やその他の委員会へは、了解を得てこれに参加し、審議場面を録画した。病棟では、主に病棟管理者(師長、係長)とチームリーダの実践に同伴しつつ、病棟を管理する実践について参加観察を行い、気になったこと等々については、個別インタビューを行った。ナースステーション内の状況は、朝の申し送りから昼のカンファレンスまでを録画した。縦断的に行っている個別インタビューには、病棟管理者に参加をしてもらい、1年間の病棟の変化やその都度の出来事などを聞き取った。 調査によって得られた音声データ及びVTRにて撮影した映像から逐語記録を作成し、フィールドノーツと併せて、協働実践がいかに編成されているのかを分析した。 分析結果は、第38回日本保健医療社会学会大会、18th Qualitative Health Research Conference等で口頭発表した。また、『看護研究』『現象学年報』『メルロ=ポンティ研究』等に論文を発表した。 今後は、病院の入り口でもある救急病棟での調査を予定している。本年度に、病棟管理者との打ち合わせ及び事前調査を行い、具体的な調査方法について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、病院という組織において看護がいかに形作られているのかを、事象をその内側から探究する現象学、及び人々の方法論を探求するエスノメソドロジーをもとに記述的に探究することを目的としている。 これまでの調査では、総合病院の看護を幾つかの側面――病棟での実践、看護部という管理部門の実践、及びこれらの間でいかに情報が交換、あるいは伝達されて協働実践が編成され、患者へのケアに結びついているのかを、フィールドワーク、及び個別インタビューを通して探求してきた。 上述の調査から得られたデータの分析をもとに、これまで「患者へのケアが行われる看護場面」、「患者へのケアに向かう看護チームの協働実践」、「新人看護師の実践を成り立たせる協働実践」、「チームリーダによる実践の編成」、「急変を先取りした協働実践」、「緩和ケアの協働実践」、「病棟管理者である師長の実践」等々を記述し、学会や雑誌で報告した。 現在、看護管理部門における管理実践の分析を進めており、さらに、患者にとって入り口となる救急病棟の調査の仕方を調整している。これらの調査とそれを分析した記述によって、病院の看護が、その入り口から出口までの流れにおいていかに形作られているのかを示すことができ、本研究の目標を達成できる。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、引き続き総合病院において約2週間のフィールドワーク、及び継続的に個別インタビューを実施する予定である。 フィールドワーク(参加観察、個別インタビュー、VTRでの映像の録画)は、主に救急病棟において実施する予定である。さらに、病院の看護管理者(看護部長、副看護部長)、病棟管理者(師長、係長)への個別インタビューを、継続して実施していく。 分析結果については、国内外の関連学会や書籍等において発表する予定である。特に本年度は、国外での研究成果の公開を積極的に行い、協働実践に関する論点を拡張したい。既に、第39回の日本保健医療社会学会での発表が決まっている。 本年度は、本研究の最終年度でもあるため、これまで多様な切り口から記述してきた、総合病院の看護の協働実践を相互に関連づけて、病院における看護の生成を包括的に記述し、検討することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、主にフィールドワークと国内外での学会参加、及び発表を予定している。そのため、研究費については、以下を予定している。 1)フィールドワークの事前打ち合わせ、及び2週間(2名)のフィールドワーク、継続的な個別インタビューのための交通費(宿泊費含む)。 2)国内外の学会への参加費、及び交通費等。予定として、第39回日本保健医療社会学会大会、第33回日本看護科学学会学術集会、19th Qualitative Health Research Conference他。 3)得られた音声、及び映像データの逐語記録の作成委託。
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Research Products
(13 results)