2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23593135
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松浦 正子 神戸大学, 医学部附属病院, 看護師 (30379440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 裕 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20332281)
前田 英一 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (70322196)
一瀬 晃洋 神戸大学, 医学部附属病院, 特命准教授 (90362780)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 看護学 / 医療・福祉 / 情報工学 / 臨床 |
Research Abstract |
本研究の目的は、視覚障害を有する患者の医療情報へのアクセシビリティ向上である。具体的には、神戸大学で開発した点字文書提供システムを用いた点訳用の文書を整備し、病院内での点字文書の運用体制の構築である。研究期間内に、(1)点字翻訳するためのeBrailleプログラムをインストールしたサーバを立ち上げ、(2)点字文書用に文章を修正の上で点図を追加し、(3)点字版文書の完成後、各診療部門の代表者等との連携をはかり点字文書の運用体制を構築し、(4)点字文書の運用体制を評価する。今年度の実績は以下のとおりである。まず、eBrailleサーバの更新と立ち上げに向けた作業では、自動点字翻訳プログラム用の新サーバ(本研究予算で購入予定)導入に向けて、現在動作しているプログラム移植の準備をおこなった。本研究で実施する多量の点字翻訳を円滑に可能にするとに、随時点訳に必要な計算処理の能力も付与し滑らかな自動点訳を実現するためには処理能力の高いサーバが望まれるため、計算能力向上が日進月歩であることを考慮し、点字文書収集と内容修正後に購入することにした。納品からサーバ稼働まで、速やかに実現可能な状況になっている。次に、点訳に向けた文章の収集と修正 では、研究分担者の前田博士と一瀬博士の協力を得て病院内で患者に配布している患者向け文書を収集した。過去の点字パンフレットの点訳での経験を基に点訳の前処理としての修正パターンをルールとしてまとめているのでこれを遵用し、点訳の前処理を行い視覚障害者が読み易い文体に修正した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自動点字翻訳プログラム用の新サーバ導入に向けて、まず現在動作しているプログラム移植の準備に取り組んだ。そしてサーバの計算能力向上が日進月歩なので、年度後半にサーバを購入することにした。そして年度末までにサーバへのプログラム移植を完了した。現在、新サーバが稼働している。 次に前田博士と一瀬博士の協力を得て、病院内で患者に配布している患者向け文書を収集した。そして、点訳の前処理として文章の修正に取り組んだ。これは、視覚障害者が読み易い文体にするものである。以上のように計画通りに取り組み、研究成果は論文(計4本)や学会発表(11回)として報告しており、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、視覚障害を有する患者の医療情報へのアクセシビリティ向上である。そのためには、病院内での点字文書の運用体制の構築が必要である。 そこで、前年度に引き続き、点字版の患者向け文書の収集と修正に取り組む。同時に、新サーバで稼働させているプログラムの更新に取り組み、eBrailleサーバを改良する。点訳に加えて、点図等の表記ルールに則り点図の作成にも取り組む。完成した点図を含む点字文書は、視覚障害者による評価を実施することで、達成目標の達成度を確認する。評価の結果、明らかになった問題点は修正する。最終的に、最適な図と印刷方法も決定する。 上記取り組みの上で、点字文書の運用体制の確立に取り組む。最初に、(1)患者へ点字文書を渡すまでのフローチャート、(2)点字文書(定型文書・動的に内容が変化する文書)の準備と各部署への設置を行う。その後、(3)点字文書の運用マニュアルの作成、の順で取り組む。また、病院情報システムとの一体化の可能性も検討したい。なお、サーバ用として購入予定の計算機の販売終了により、性能は若干劣る安価なサーバを購入した。性能低下分をカバーするために、eBrailleプログラム改良を次年度に実施し、対応する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
・eBrailleサーバのプログラム改良、点字版文章の修正と点図の追加 [担当:松浦、高岡、前田、一瀬、池上] 前年度に引き続き、点字版の患者向け文書の収集と修正に取り組む。同時に、新サーバへ移植したeBrailleサーバプログラムの改良にも取り組み、更新する。なお当初予定に無かったプログラム改良のために研究補助者を雇用し、対応予定である。点訳に加えて、外来案内や入院案内に記載されているような案内地図や料金表などを点字文書に記載する目的で、点図等の表記ルールに則り点図を作成する。点図を印字可能な点字プリンタ(現有)で点図を含む文書を印刷する。点図を含む点字文書の評価は、高岡博士の研究室に所属の社会人大学院生(国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局 神戸視力障害センター・厚生労働教官)の小田剛氏を研究協力者として実施する。評価の結果、明らかになった問題点を連携研究者の池上峰子副看護部長の協力も得て修正し、点図を完成させる。また、点図の対照群として各種の図を立体コピー作成機(現有)でも印刷し、比較検討した上で最適な図と印刷方法を決定する。なお、点字文書は、病院スタッフにも内容が理解できるように墨字と点字を同時に印刷した文書を作成する(現有の点字プリンタは、墨字・点字の同時印刷が可能)。・点字文書の運用体制の確立 [担当:松浦、前田、池上] 研究分担者の前田部長(教授)と池上副看護部長の協力のもと、点字文書を患者へ提供するための運用体制を検討する。始めに(1)患者へ点字文書を渡すまでのフローチャート、(2)点字文書(定型文書・動的に内容が変化する文書)の準備と各部署への設置、(3)点字文書の運用マニュアルの作成、を検討項目とする。また、病院情報システムとの一体化が可能かどうかについても検討する。 以上の研究計画を遂行するために、研究費を使用する。
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Research Products
(16 results)