2012 Fiscal Year Research-status Report
看護学生の睡眠・体温リズムと健康指標との関連及び教育的アプローチに関する研究
Project/Area Number |
23593137
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
上田 雪子 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30593305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 雅恵 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80280212)
留畑 寿美江 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40360995)
野垣 宏 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10218290)
廣瀬 春次 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30181209)
清水 慶久 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80403674)
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Keywords | 睡眠‐覚醒リズム / 体温リズム / 健康指標 |
Research Abstract |
本研究の本年度の目的は,看護学実習におけるカンファレンス前後の睡眠と気分の変化を検討することであった。同意の得られた看護学生18名を対象に,生活習慣記録機ライフコーダGSを用いて,睡眠変数(総睡眠時間,睡眠潜時,中途覚醒回数,睡眠効率,就床時刻,離床時刻)を,看護計画立案カンファレンス前後の18日間測定した。気分の変化は,POMS短縮版を用い,カンファレンスを挟む実習1週間後と2週間後の計2回測定した。統計解析はWilcoxon符号付き順位和検定(有意水準5%未満)を用いた。結果,総睡眠時間はカンファレンス前5.1時間,平日4.9時間,週末6.1時間,一方,カンファレンス後5.0時間,平日4.9時間,週末5.8時間であった。2群間の比較では,カンファレンス前の週末の総睡眠時間がカンファレンス後よりも有意に多かった(P<0.05)。一方,睡眠潜時,中途覚醒回数,睡眠効率,就床時刻,離床時刻のいずれもカンファレンス前と後の有意な差は認められなかった。 POMS短縮版の得点結果,緊張‐不安はカンファレンス前64.0点,カンファレンス後57.0点と,カンファレンス前がカンファレンス後よりも有意に高かった(P<0.05)。抑うつ‐落ち込みはカンファレンス前48.0点,カンファレンス後53.0点と,カンファレンス前がカンファレンス後よりも有意に低かった(P<0.05)。一方,怒り‐敵意,活気,疲労,混乱はいずれもカンファレンス前と後の有意な差は認められなかった。総睡眠時間は,カンファレンス前後ともに平日に比べ週末に多いことより,平日の睡眠時間の不足を週末に補っていると考える。カンファレンス前は患者との人間関係,患者に応じた看護過程の展開の難しさ,カンファレンス開催に対する緊張-不安が高く,カンファレンス後は看護実践能力の不足を実感することから抑うつ-落ち込みが高くなることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,看護学実習期間中の睡眠リズムを客観的に把握し,生理学的検討をすることを目的として,睡眠リズムの客観的な指標として,生活習慣記録機ライフコーダGSを用いて,睡眠変数(総睡眠時間,睡眠潜時,中途覚醒回数,睡眠効率,就床時刻,離床時刻)を,主観的指標としてはOSA睡眠調査票(MS版)を用いて21日間の睡眠‐覚醒リズムを測定した。併せて,体温リズム,睡眠生活,不安(STAI日本語版),気分(日本語版POMS),蓄積的疲労(CFSI)を測定した。看護学実習期間中,最も心理的負荷が起こると推測される看護計画立案カンファレンス前後に焦点をあて分析を行った。その結果,総睡眠時間は,カンファレンス前後ともに平日に比べ週末に多いことより,平日の睡眠時間の不足を週末に補っていることがわかった。カンファレンス前は患者との人間関係,患者に応じた看護過程の展開の難しさ,カンファレンス開催に対する緊張-不安が高く,カンファレンス後は看護実践能力の不足を実感することから抑うつ-落ち込みが高くなることが明らかになった。しかし,睡眠リズムおよび体温リズムと精神的健康との関連については,分析途中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の研究結果において,看護学実習期間中の睡眠時間の減少と精神的健康状態との関連が指摘される。看護学生の睡眠健康の維持のためには,ライフスタイルの改善や睡眠時間の確保が重要であり,睡眠リズムの調整をすることにより,睡眠時間の確保と生活リズムを整えられる可能性が高いと考えられる。しかしながら,看護学実習における看護学生を対象とし睡眠リズムに焦点をあてた介入研究は見当たらない。今後は,ランダム化比較試験による介入研究を行うことによって,看護学実習における看護学生の睡眠リズム調整が睡眠の質と精神的健康に与える影響を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
看護学生30名を対象に,平成25年3月の老年看護学実習のない7日間のデータ収集を行う予定であったが,対象者数に達しなかったことから,3月のデータ収集を見送ったため,謝金支払いの未使用額が生じた。平成25年4月から7月(老年看護学実習期間中の21日間および実習のない7日間の計28日間)に看護学生30名を対象としてランダム化比較試験による介入研究を行う予定である。研究対象者への謝金,アンケート処理のための人件費,生活習慣記録機ライフコーダGS10台,ボタン電池および印刷用紙の購入費用に当てる。また,研究成果を学会発表するための費用が必要である。
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