2011 Fiscal Year Research-status Report
無床診療所の安全管理体制の実態把握と安全教育システムの構築
Project/Area Number |
23593159
|
Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 美雪 山梨県立大学, 看護学部, 助教 (30389978)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 無床診療所 / 医療安全 / 安全管理体制 |
Research Abstract |
本年度は、これまでほとんど研究されていない無床診療所の安全管理体制についての実態を把握するために、初年度として文献検討と予備調査を行った。その結果、日本の無床診療所の成立過程と現在の機能分化されたなかでの位置づけが明らかとなった。また、国外(主にアメリカ)と日本における診療所の概念及び機能の相違、医療安全についての先行研究から無床診療所の課題が明らかとなった。(1)アメリカでは、The Joint Commission等により様々な形態および機能の診療所の評価・認定プログラムにNPSG(National Patient Safety Goals)が組み込まれ、目標(Goals)を達成し評価を受けることによるincentiveが働く仕組みが構築されている。一方、日本では、医療法において安全管理体制の整備が義務付けられているにもかかわらず、立ち入り検査等での整備状況を把握し指導するシステムが十分に機能しておらず、年々増加する無床診療所の安全確保が難しくなっている現状が明らかになった。先行研究からは、地域の医師会、歯科医師会等の医療関連団体による安全管理体制についての調査が多く、院内感染、患者取り違え、誤薬等が主なテーマであった。(2)予備調査では、無床診療所の医療安全体制の実際と取り組み及び課題について、診療所の管理者、病院長、地域医師会、地域歯科医師会、地域看護協会、医療安全をテーマとしている大学教員等の有識者にフォーカスインタビューを行った。その結果、近年、国内の無床診療所で発生している医療事故の要因と防止のための方策についての知見が得られた。診療所の管理者の院内での職種間連携や地域連携による安全確保、職能団体の安全管理体制の調査結果を研修に繋げることで事故防止を図っている取り組み等の各施設、地域で自主的に、自浄作用を意識して取り組んでいる実態及び今後の課題が明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は、本来なら、無床診療所の安全管理の実態把握のための事前調査を終了し、面接調査を開始する計画であったが、調査方法および分析方法についての具体的な検討が十分にできなかった。これは、調査を予備的に行った結果、これまで考えていた方法よりもさらに効果的な方法について検討する必要があり、それに時間を要したことによる。
|
Strategy for Future Research Activity |
H24年度は、本調査に向けて、調査方法(質的・量的)の再検討を行う。特に調査研究の方法については、医療機関の管理者及び医療団体を協力者として加え、本研究の目的が達成できる体制をとるようにする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は予備調査が十分実施できなかったため、協力者の旅費等が未使用であった。来年度は実施できなかった調査を行い、さらに本調査に向けて、各地の協力者と会議を開催する計画である。また、調査方法の精度を高めるので、それについても経費が必要となってくる。
|