2013 Fiscal Year Research-status Report
無床診療所の安全管理体制の実態把握と安全教育システムの構築
Project/Area Number |
23593159
|
Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 美雪 山梨県立大学, 看護学部, 講師 (30389978)
|
Keywords | 無床診療所 / 安全文化 / フィールドワーク / 質問紙調査 |
Research Abstract |
今年度は、引き続き2ヶ所の無床診療所でのフィールドワークとともに、無床診療所の安全の取組みと地域医療団体合同研修の効果について、医療関係学会でのシンポジウムを開催し参加者と意見交換を行った。 フィールドワークでは、各診療所の安全についての考え方や価値観、職種間の意思疎通、安全の重要性への共通認識等の安全文化の要因が明らかになった。概要として、1.管理者である院長と職員との関係性では、職員が20歳代の歯科医院では、院長と職員の関係は親子のようであり、院長が職員に教育的な関わりを行っていた。勤務年数20年以上の看護職で構成される耳鼻咽喉科医院では、院長と看護師が専門職として対等な立場で意見を交わし、看護師は院長に相談しながら自律した安全確保の取り組みを行っていた。2.安全への取組みでは、各診療所が独特の方法で行っていた。歯科医院では無線インターカムを用い、職員同士で患者の状態報告、注意ポイントの確認等の情報共有を行い、補助要請等の迅速な協力をしていた。感染予防については器材洗浄場所の改善やマニュアルの作成と遵守が徹底されていた。耳鼻咽喉科医院では、安全管理の基本以外にはマニュアルにしていることは少なく、看護職が創意工夫した多くの方法(例:カルテに挟むカード、冷蔵庫の中の薬剤の整理方法、看護日誌の活用、サポート等)により安全が確保されていた。そこには看護職の確かな経験知が発揮されていた。3.安全についての考え方は、2診療所ともに、「安全のための経費は惜しまない」という考え方であり、感染対策の手袋装着や手洗い消毒の徹底等がされ、さらに院外・院内の医療安全研修には職員が積極的に参加していた。 シンポジウムでは、シンポジストから医療団体合同研修による地域全体での取り組みの効果と院内での安全確保の効果的な取り組みが報告され、無床診療所での安全確保の重要性について参加者と意見交換を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は、無床診療所の安全についてのフィールドワークの準備および調査方法について再検討する必要があり、やや遅れ気味であった。しかし、今年度は準備した通りに順調にフィールドワークを実施できた。そのため、次年度の調査票による実態把握の準備にも繋げることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、現在準備中の調査票による安全文化の調査・分析を行い、フィールドワークで得られた結果とともに考察を行うことで、無床診療所の安全のための教育の課題を見出すとことする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究初年度から計画的に研究を進めてきたが、予備調査およびフィールドワークにかかる期間が予定以上に必要であった。そのため、本年度に計画にしていた調査票による実態把握まで至らなかった。このような理由で、質問紙調査にかかる経費が未使用額として発生した。 このため次年度において、安全文化についての質問紙調査を実施し、これまでのフィールドワークで得られた結果とともにまとめ、学会等で発表することを予定している。未使用額はその経費に充てることとする。
|