2014 Fiscal Year Annual Research Report
無床診療所の安全管理体制の実態把握と安全教育システムの構築
Project/Area Number |
23593159
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Research Institution | Yamanashi Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 美雪 山梨県立大学, 看護学部, 講師 (30389978)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 無床診療所 / 安全文化 / 安全教育 / 質問紙調査 / フィールドワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は無床診療所の安全管理体制の実態把握を目的に、1000施設の医師と看護師に調査票を郵送し調査を行った。回答率は医師17%、看護師18%であった。質問項目は、院内コミュニケーション、仕事のプレッシャー、患者安全に対する診療所の支援体制、職員教育等である。結果は、医師と看護師の肯定的回答の傾向は類似していたが看護師の肯定的回答率は医師より全体的に低値であった。項目別では、仕事のプレッシャー、職員教育、院内コミュニケーション等の肯定的回答は低率であり、チームワーク、組織学習の考え方は高率であった。昨年度の無床診療所でのフィールドワークでは、安全についての考え方や価値観、職員間の意思疎通、安全の重要性への共通認識等が安全管理体制の構築に重要であることを明らかにした。これらから無床診療所の安全管理体制の確立に重要な取り組みおよび安全教育として、以下が考えられた。 (1)診療所内の取り組みとして、1)診療所の管理者と職員、職員間の良好な関係の構築、2)安全確保の為の意欲的な改善と工夫、3)院内研修の計画的な企画、実施、評価を職員全員により実施、4)院外研修への職員の参加の積極的な推進、5)管理者の院内外の安全教育・研修への積極的な参加、(2)安全文化の醸成のための教育として、プレッシャーを感じながら業務を行っている職員同士が、オープンコミュニケーションによりミスを言い合える関係形成の研修を導入すること等である。 研究者らはこれまで、診療所の管理者と全職員それぞれを対象とした研修スケジュールを提案してきた。今回の結果から、無床診療所の安全確保のためには、これまでの研修に加え、安全文化の醸成を促進する内容とそれを可能にする教育システムの確立が重要であることが明らかになった。そのためには、無床診療所の管理者や地域の医療団体と連携した地域の医療安全を推進する教育システムの構築も求められる。
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