2011 Fiscal Year Research-status Report
看護アセスメント能力の向上をめざす育成プログラムの構築とその評価
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23593165
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
曽田 陽子 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (80405224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 弓子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (50289758)
小松 万喜子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (50170163)
佐藤 美紀 愛知県立大学, 看護学部, 講師 (10315913)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アセスメント / 看護過程 / 看護継続教育 / 看護学 |
Research Abstract |
1.効果的なアセスメント能力育成プログラムを開発するための基礎データを得るために、看護部門の担当者へのインタビューを行った。対象施設では電子カルテが使用されており、電子カルテの導入を契機にして看護アセスメントのデータ収集の枠組みをNANDA分類法IIに変え、NANDA看護診断、NOC、NICを使用し始めていた施設が多かった。また、患者の全体像の把握しづらさや思考過程の見えづらさ、看護診断用語の難解さなどに問題を感じていることが確認された。2.看護アセスメントの状況と院内教育の実態を知ることを目的に、院内研修会の視察と、了解を得て研修の一部に参画した。研修は指導的な立場にある中堅看護師を対象としたもので、参加者は「アセスメント-看護診断-看護介入」のリンケージについて具体的な理解不足や自信のなさを感じていた。また、「アセスメント-看護診断」の過程が、介入に活かしきれていないと感じる状況があった。研修参加者に対して、大島の提唱する「分析・判断」の4ステップの説明と、「アセスメント-看護診断-看護介入」のリンケージについて解説した後に、研究者らがファシリテーターとなって、施設から提供された慢性期、急性期患者の看護記録を用いてアセスメントのグループワークを行った。その結果、「いつも同じ視点のみからアセスメントしていた」「適切な介入を行うためには関連因子を明確にする必要性が理解できた」「危険因子をアセスメントすることの重要性がわかった」などの意見が聞かれた。以上のことから、効果的なアセスメント能力育成プログラムの作成においては、思考過程を可視化していく教育方法が重要であり、そのためには大島の「分析・判断」の4ステップを育成プログラムに活用することが有用であることを確認した。これらの結果の一部を学会で発表する準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
効果的なアセスメント能力育成プログラムの開発に活用するための基礎データとなる看護アセスメントの状況および院内教育についての調査は一部実施することができた。研究者らのアセスメント能力育成プログラムについては、教育内容はおおむね完成しているが、各施設(病院)の実状にそったプログラムとする具体的な方法に関する検討と調整が遅れている。また、事例を使用してその教育プログラムを実施した後の評価基準が完成していない。遅れの理由としては、研究者間、また研究者と協力病院担当者とのスケジュールが調整しづらかったことや、院内研修のスケジュールは前年度にすでに決まっていることが多く、研究者らの研究スケジュールが後追いする結果となったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
効果的なアセスメント能力育成プログラムの開発と内容妥当性を検討するために、大島の提唱する「分析・判断」のプロセスにおける4ステップを用いて、アセスメントの思考過程を可視化する授業内容をより具体化させ、研修プログラムとして明確にする。あわせて評価に用いる事例および評価基準、評価方法を完成させる。また、組織的に研究協力できる病院を募り、その病院のアセスメントの状況および院内教育について情報を得る。院内教育の時期が研究スケジュールと合致する施設があれば順次プログラムを実施して、その成果の調査を行う。これらを計画的に進めていくために、研究者間で定期的な会議時間を確保する。また、協力病院担当者との連絡を密にとり、次年度の各病院の年度計画にそって、その機関にとっても有効となる対応で研究を進める。平成23年度の研究実績の一部を国内外の学会で発表を行い、他の研究者から意見を収集および検討することにより研究内容を洗練していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.平成23年度の成果の一部について学会発表(日本看護診断学会(京都)、NANDA-I(アメリカ、ヒューストン))を行う。NANDA-Iカンファレンスへの参加登録は23年度中に行うことを計画していたが、旅費とともに参加年度(24年度)の予算から支出する。2.前年度の分担者との会議は、各々の業務の都合上1回しか開催できなかったが、本年は定期的に会議をもち(会議は3回とし、後はメール会議で補う)、授業内容の具体化、事例と評価基準を完成させる。その際参考とする図書や消耗品の購入、および旅費を支出する。3.プログラムへの協力病院数を増やし決定する。その病院の看護師のアセスメントの状況と院内教育を調査するとともに、プログラム実施に向けての準備を行い、順次プログラムの実施を開始する。その調査やプログラムの実施のために対象病院に出向くための旅費を支出する。
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