2012 Fiscal Year Research-status Report
腰痛要因となる危険前傾角度をリアルタイムに自己チェック可能な学習教材の開発と応用
Project/Area Number |
23593167
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
伊丹 君和 滋賀県立大学, 人間看護学部, 教授 (30310626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 寿彦 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (60157998)
米田 照美 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助教 (00353037)
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Keywords | 腰痛 / 看護動作 / 自己学習教材 / 看護現場 |
Research Abstract |
昨年度は腰痛予防のための動作姿勢学習教材の開発を試み,動作時の腰部負担のかかる姿勢を学習者に告知するため,「音発生機能」を搭載してその有効性を確認した。なお,「音発生」は腰部に負担のかかる危険な前傾姿勢角度で警告するものである。しかし,看護学生が看護動作時の正しい姿勢を自己学習するためには有効であるものの,実際の看護現場で活用するためには「音発生機能」は臥床患者の安静を妨げる恐れも考えられる。したがって,平成24年度は,学習者の身体に装着したセンサが危険な前傾姿勢角度時に「振動」する機能に改良を加えることを試みた。なお,本学習教材は,現場の看護者が活用可能であり,ボディメカニクスを活用した正しい動作姿勢を促すことを目標としている。 評価については,研究の趣旨を理解し賛同した看護者2名を対象として,本学習教材活用時の動作姿勢改善の有無および試作教材機能について検証した。評価対象とした看護動作は腰部に負担のかかりやすい基本的なベッドメーキングとした(2人法)。 その結果,「振動」による警告がない場合は,対象者の前傾姿勢角度の平均値は危険角度40°付近の値であるのに対し,「振動」による警告がある場合には,注意角度30°以下の値となった。このことから,「振動」による警告は学習者の姿勢角度をリアルタイムに改善させ,ボディメカニクスを活用した腰部への負担が少ない動作姿勢を促すことができたといえる。また,「音発生」がないため,実際の看護現場においても使用可能となった。なお,試作教材の機能についての意見では,「初期補正スイッチが押しにくいため押しやすいように工夫してほしい」「今のままでも十分に使いやすいが,さらなる小型軽量化を実現してほしい」などがみられ,機器の完成に向けてさらなる改良が必要と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
看護師および介護職の職業性腰痛は深刻であり,離職者防止の観点からも腰痛対策は急務である。看護動作における腰痛発症の要因として上体を前屈させる前傾姿勢があげられるが,自らの動作姿勢を客観的にいかに自覚するかが重要である。そこで,本研究では腰痛要因となる動作時危険前傾角度をリアルタイムに自己チェック可能な学習教材を開発し,教育効果を高める活用方法を検討することを目的としている。また,看護師・看護学生および介護職や地域在住介護者などを対象に,実践の場で活用することによって,対象者の腰痛予防に対する意識向上と動作姿勢・腰痛改善をめざすものである。 現段階までに実際の看護現場で活用可能な学習教材を試作し,その効果については確認できたところである。しかし,学習教材機器をさらに改良して,実際看護者が勤務するなかで効果的に活用できるかについての検証が必要である。また,介護者および地域在住介護者にも本学習教材の活用効果を検証していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き,教材開発およびその効果検証に重点を置き研究をすすめていきたい。 平成21年度より研究代表者(伊丹)らとともに腰痛対策についての共同研究をすすめている彦根市立病院看護部の協力も得ているので,開発した学習教材の活用評価は看護現場の看護師の方も対象に行う予定である。可能であれば,小型の携帯機器作成のありようを看護師から意見聴取し機器の完成へとつなげていきたいと考えている。 また,滋賀県立大学人間看護学部および工学部機械工学科の学生の協力も得て,教材開発の評価を行いながら,本学習教材活用における教育効果をさらに高める方法の検証を行っていきたいと考えている。研究代表者(伊丹)および分担者(米田)は,看護学生を対象にボディメカニクスを活用した看護動作を看護技術演習で教育しており,実際の看護教育の場で試行錯誤しながら引き続きその方法を検討していきたい。 平成25年度は完成年度であるため,看護現場で実際に活用可能な正しい動作姿勢のための自己学習教材を完成させるとともに,その効果検証を行い,研究の総括を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度も引き続き,教材の改良を行うため,電子部品などの費用は必要である。 また,改良した教材の活用評価を行うための,被験者人件費および研究補助者の人件費も必要である。また,成果発表のための学会参加のための旅費などの費用も必要である。
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