2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23593188
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
飯島 佐知子 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (80389890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊川 智之 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40345046)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交流 / 急性期病院 / IT / 費用効果 / 転倒予防 / 傾向スコア |
Research Abstract |
目的:転倒防止対策の効果を評価する場合、転倒防止ケア実施者と対照(未実施者)の間に転倒リスクに差があるため比較が困難である。本研究の目的は、傾向スコアを用いて転倒リスクを調整し転倒防止ケアの効果を検討した。方法:飯島らが開発したIT化した転倒リスクアセスメントツールと連動した標準転倒予防計画を使用している病院で2009年1月~2010年1月に収集された患者22349件のデータを分析の対象とした。分析方法は、転倒リスクを独立変数、各転倒防止ケア実施有無を従属変数とするロジスティック回帰分析から傾向スコアを算出した。傾向スコアを用いて、転倒防止ケアごとに実施群と未実施群のマッチドサンプリングを行い、オッズ比を算出した。統計パッケージはSTATA11を用いた。結果:分析対象者は70歳以上の者が12,689名(56.8%)、入院前の転倒経験あり2,249(10.1%)、介入後の転倒は245件(1.1%)であった。転倒予防ケアのオッズ比は、「必要時トイレ近くの部屋へ移動」0.32 「マット式アラーム」0.39 「抑制の使用制限」0.42「家族への付き添い依頼」0.49など49項目中16項目が効果があった。一方、「ハイリスクマーク」2.9「転倒リスク者の情報共有」2.5であり効果がみられなかった。転倒リスクIIIの患者へ実施率が高いケアは、「転倒リスク者の情報共有」39 %、「ハイリスクマーク」30%であった。実施率が低いケアは、「家族へ付き添い依頼」9 %「抑制の使用制限」6 %「マット式アラーム」1 %「必要時トイレ近くの部屋へ移動」 1 %であった。結論:49のケアのうち予防的効果の見込めるケアと効果のないケアを確認できた。一方、オッズ比の低いケアの実施率は必ずしも高くなかった。今回の研究打ち切り時点で介入後の転倒者が少なかったため、継続して課題に取り組むことが必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
米国の見学先病院の決定や交渉が遅れたため、年度内に見学できなかった。介入の対象病院の決定や電子カルテ上に搭載するための準備、病棟ごとの無作為化の交渉はすすんでいる
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Strategy for Future Research Activity |
24年5月の米国について退役軍人病院での転倒予防研究会に参加し、米国での転倒予防対策を視察する。対象病院で転倒アセスメントツールと予防対策を電子カルテ上に導入し使用を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
米国病院の視察40万円、転倒アセスメントツールと予防対策の電子化作業謝礼(30万円)、転倒予防物品の購入36万円、調査作業補助者への謝礼90万円
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