2011 Fiscal Year Research-status Report
人間工学を応用した対策指向型の看護業務改善手法の開発研究
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23593197
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Research Institution | Tokyo Ariake University of Medical and Health Sciences |
Principal Investigator |
吉川 悦子 東京有明医療大学, 看護学部, 講師 (00435554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 徹 (財)労働科学研究所, その他部局等, 研究員 (50332218)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 看護学 / 人間工学 / 看護業務改善 / 参加型 / PAOT / 看護師 / アクション・リサーチ / 参加型職場環境改善 |
Research Abstract |
本研究の全体構想は、安全・安心で質の高い看護サービスの提供のための看護師の働き方の改善を含めた職場環境改善システムの構築を目指す。そのため、本研究では、医療現場で働く看護師が最大限にそのパフォーマンスを発揮できる業務設計のための参加型対策指向型看護業務改善システムの開発を目的とする。具体的には、1)看護業務改善良好実践事例の収集と分析、2)看護業務改善のための人間工学的介入視点(チェックポイント)の構造化、3)参加型対策指向型看護業務改善プログラムと効果評価方法の開発を行う。特に、現場で働く看護師が安全・安心で健康的な労働生活を送るために必要な労働環境改善手法について、人間工学領域で蓄積された方法論を応用し検討する。平成23年度は、看護業務改善の良好実践事例収集と分析をメインに進めた。医療現場ですでに実践されている看護業務改善の良好実践事例を文献・報告書、フィールド調査から収集し、収集したデータを看護学、人間工学領域の専門家を含めた研究チームで人間工学的視点から分析し、効果的な業務改善事例に含まれる要件や業務改善が必要な領域の整理を行った。これらのデータ収集は国内だけにとどまらず、世界各国からの幅広い改善事例を収集した。その結果、人間工学的な視点からの看護用務改善の良好事例として、PAOT(Participatory action-oriented training)と呼ばれる参加型アプローチを用いた職場環境改善手法、参加型人間工学(Participatory Ergonomics)手法など、現場で働く看護師が主体的に改善に取り組む「参加型」のアプローチが、現場のニーズや実情にあったより効果的な業務改善を推進できる可能性が示唆された。次年度は、参加型アプローチを用いた看護職場・看護業務改善プログラムの開発を目指し、人間工学的介入視点の構造化を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度目的としていた看護業務改善の良好実践事例収集と分析については、良好実践事例の収集はほぼ終わり、分析については最終段階となっている。ただし、この良好実践事例を収集する段階で、平成24年度の研究計画である人間工学的介入視点の構造化に関する有用な各国の知見もともに収集することができ、これらの計画も一部進展できたため、おおむね順調な進展と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降は、看護業務改善のための人間工学的介入視点(チェックポイント)の構造化を目指す。まず、前年度に整理された知見に基づき、人間工学的視点から看護業務の改善課題・改善視点を分析し、対策指向型の業務改善に必要な要素として40~60項目程度のチェックポイントを検討し、整理する。対策指向型の業務改善視点とは、その視点に基づき現場を見ることで、その現場では改善が必要であるか、また改善が必要であれば具体的にどのような改善策が必要であるかを同時に明らかにできる視点である。その後、人間工学チェックポイントを用いたパイロットスタディとして、複数の病棟の看護師とともに現場の業務改善を参加型アプローチを用いて実施し、人間工学チェックポイントの項目の整理と、これらが看護業務改善に活用できるかを実証的に検証する。パイロットスタディの経験に基づき、人間工学チェックポイントを活用した参加型アプローチの業務改善プログラムの具体的な内容を検討する。また、これらのプログラムの効果評価の指標もあわせて検討する。最終的には、研究協力病院の看護師とともに看護業務改善プログラム実施のための研修・実施体制のフレームワークを検討する。 研究チーム体制として、研究代表者、分担研究者の他に、医療現場で働く看護師らもチームに加わってもらい、研究者と現場実践者との協働作業によるアクションリサーチの形式をとる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、対策指向型の看護業務改善プログラムの開発も実施するため、すでにこれらの改善プログラムを施行している、ベトナム、米国へのヒヤリング調査を計画しており、このための費用が必要となる。また、研究結果を国際学会にて発表予定のため、学会参加費、旅費等の経費が必要となる。 病院でのパイロットスタディ実施においては、調査助手の謝金、研究協力者の謝金が発生する。
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Research Products
(3 results)