2012 Fiscal Year Research-status Report
正統的周辺参加論による新人看護師の看護実践における学習プロセスに関する研究
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23593199
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Research Institution | Kyoto Tachibana University |
Principal Investigator |
梶谷 佳子 京都橘大学, 看護学部, 准教授 (40224406)
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Keywords | 新人看護師 |
Research Abstract |
本研究は,正統的周辺参加論(LPP)により新人看護師の看護実践のための学習プロセスの様態を明らかにすることを目的としている.LPPを用いた新人看護師の学習プロセスを解明することで,新人看護師の共同体への正統的な周辺参加から十全参加への移行を辿るプロセスを理解することができる.そして,新人看護師の卒後教育の充実に向けた組織作りが推進される中において,看護専門職としての成長に向けた,移行時期に応じた具体的な卒後教育の方略を考える上での知見が得られるということに研究の意義を見出せる.2年目の実績について述べる.本研究は2年目の臨床看護師を対象とする.研究の目的を達成するためのデータ収集方法に関する検討を行った.その結果,2年目の看護師の経験を語ってもらう半構造的インタビューを採用することにした.半構造的インタビューではあるが,研究対象者の語る自由度を高くし,語られる文脈を大切にしながらデータを収集することが大切であると考えている. また,一方で,新人看護師の学びのプロセスである,学生時代の看護実践力を高めるための学内演習や看護学実習での学びについてのニードについての分析を行った.その結果,臨床現場におけるバリエーションを踏まえた状況の設定の工夫を求めたり,指導者間の連携へのニードが明らかになった.これらの結果は,臨床におけるバリエーションの乏しい新人看護師が1つ1つの経験を意味ある経験にすることの大切さと共に,新人看護師を取り巻く指導的立場にある看護師の学習共同体としての関わりの大切さを裏付ける根拠となると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,当初の計画よりやや遅れているが,着実に進んでいる.本研究は,正統的周辺参加論(LPP)により新人看護師の看護実践のための学習プロセスの様態を明らかにすることを目的としている.当初はその研究方法をエスノグラフィ―としていた.しかし,研究フィールドに入ってのデータ収集が物理的に困難であったため,研究方法を変更する必要が生じた. 今年度は,妥当な研究方法を検討し,決定した.今年度は,修正した計画を遂行する予定である.修正した研究方法は,半構成的面接法である.インタビューによって,2年目看護師に新人時代の経験を語ってもらうという方法である.経験の語りから,病棟という共同体における新人看護師の学習についてデータ収集する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,質的記述的研究デザインを採用する.本研究の目的は,新人看護師が臨床において,どのように病棟という共同体に参加してきたか.看護実践プロセスにおける経験の実態を捉えることである.すなわち,経験の実態を明らかにするためには,新人看護師の語りにおいて実践場面を振り返ってもらい,病棟という共同体におけるどのような関わり合いが,学習を生起させる適切な文脈を提供するかを問う必要がある. 2013年5月10日現在,研究計画について,所属の研究倫理審査委員会に申請中であり,6月には実施可能となる予定である.6月~9月まで2年目の臨床看護師10名を対象として半構造的インタビューを実施する予定である.データ収集後の10月以降は,インタビューの音声データを文字データに変換し,分析を行う予定である.データ分析には,メンバーチェッキングを適宜行い,データの妥当性を確保する予定である. データの分析,考察後は,研究を論文としてまとめ,公表する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究協力者に謝金として1000円相当の図書券を準備する予定である.また,基本的には研究者の研究室においてインタビューを実施する予定であるが,研究協力者の希望によっては利便性の良い駅近くの貸会議室で行うこともあり,その場合は,費用が発生する. インタビュー終了後には,音声データを文字データに変換するが,その必要が発生する.インタビューは1時間を計画している.1時間の音声データを文字データに変換するには,約12,000円の費用が掛かるため,10人分であると,約120,000円を必要とする.インタビューの増減を考え,約150,000円を要する. その後,報告書作成200,000円,海外学会発表参加費用,交通費等で約200,000円要する見込みである.また,データ分析,考察のための図書当の文献購入を約300,000円要する予定である.
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