2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23593204
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Research Institution | Sonoda Women's University |
Principal Investigator |
大野 かおり 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (20300361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 裕子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (90289934)
野呂 千鶴子 園田学園女子大学, 健康科学部, 准教授 (20453079)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 災害看護 / 長期的支援 |
Research Abstract |
本研究では自然災害後,長期を経過した被災者,支援者および環境の状況を明らかにし,災害後の長期的看護支援方法について検討することを目的に,以下の調査を行った。なお,平成23年には東日本大震災が発災したが,これまでに導き出された方法論では対応できない状況が露呈したため,今年度は長期的看護支援モデルの構築につなげるために東北被災地を研究フィールドにして調査を行った。1.具体的内容:(1)被災者の状況調査(平成24年2月~3月)として,東日本大震災によるA被災地の仮設住宅住民112人に対して健康と生活に関する質問紙調査を行った。(2)支援者の状況(平成24年2月~3月)として,A被災地で被災者への支援活動を行った保健・福祉関係者,地域の役員など12人に対し,具体的な支援内容およびその活動が支援者の健康と生活に及ぼす影響について面接調査を行った。(3)環境の状況(平成24年2月~3月)として,A被災地の環境について,自治体の仮設住宅管轄部署,まちづくり管轄部署の担当者に面接調査を行うとともに,地区踏査を行った。2.意義,重要性と今後の計画:現在,調査結果を分析中であるが,被害の甚大さに加えて被災地域の特性が被災者の生活に対する不満感につながり,健康にも影響を及ぼしていること,仮設住宅で構築されつつある新たなコミュニティの状況などがわかってきている。被災者だけでなく支援者,環境との関係性より導きだす長期的看護支援方法は,自然災害からの復興を促すモデルとして有効に活用できると考える。今後は,東日本大震災後の被災地の実態調査とあわせて,阪神・淡路大震災による被災地調査を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然災害後の長期的看護支援モデル構築のための基盤となる3つの調査について,東日本大震災による被災地で実施できた。調査実施に際して,被災者および被災地に負担をかけないという倫理的配慮のもと,慎重かつ緩やかに調査をおこなった結果,有効なデータを収集することができた。 この調査結果とともに,次年度以降に計画している他の被災地での調査結果とあわせて分析することにより,長期的看護支援に向けた課題を明確にできると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は阪神・淡路大震災の被災地で,長期的看護支援モデル構築のための基盤となる3つの調査を実施する。この結果と平成23年度の結果を合わせて,復興に関連する要因を抽出し,それを調査内容の根拠として活用し,被災者および支援者への再調査を行う予定である。 東日本大震災ではこれまでに導き出された方法論では対応できない状況が露呈したため,新たに研究フィールドとし,平成23年度には被災から1年という節目の調査を行った。これにより,時間的,経費的な制約から,当初計画していた三宅島噴火災害(2000年)および新潟中越大震災(2004年)の被災地での調査を中止し,東日本大震災による被災地と置き換える計画に変更した。平成24年度以降も東北被災地と阪神・淡路大震災の被災地での調査を行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な研究費使用計画は以下のとおりである。 なお,東日本大震災から2年後の被災地調査を計画しており,当初の計画になかったフィールドワークのための旅費等を補正する必要が生じた。そのために平成23年度の経費を縮小し平成24年度以降の研究費と合算して使用する予定である。1.フィールドワークのための旅費2.国内外での成果公表(学会発表)のための旅費3.データ処理のための研究補助に係る人件費
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