2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23593204
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Research Institution | Sonoda Women's University |
Principal Investigator |
大野 かおり 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (20300361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 裕子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (90289934)
野呂 千鶴子 園田学園女子大学, 健康科学部, 准教授 (20453079)
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Keywords | 災害看護 / 長期的支援 / 被災者 / 支援者 / 環境 |
Research Abstract |
本研究では自然災害後の長期的看護支援モデルを構築することを目的にしており,本年度は①東日本大震災によるA被災地,②阪神・淡路大震災による被害を受けたB県をフィールドにして以下の調査を行った。 1.具体的内容:(1)被災者の状況;①仮設住宅住民に対して被災1,2年後の健康と生活に関する質問紙調査を実施(5月,3月)。②災害復興住宅住民に対して被災18年後の健康と生活に関する質問紙調査を実施(2月~3月)。(2)支援者の状況;①被災者への支援活動を行う保健・福祉関係者に対し,震災1,2年後の支援内容およびその活動が支援者の健康と生活に及ぼす影響について面接調査を実施(5月,3月)。②災害直後から被災者への支援活動を継続している保健師,生活支援専門員,住民代表者に対し,支援内容およびその活動が支援者の健康と生活に及ぼす影響,18年間の変化について面接調査を実施(2月~3月)。(3)環境の状況;①震災1,2年後の環境について地区踏査を実施(5月,3月)。②震災18年後の環境(特に災害復興住宅周辺)について地区踏査を実施(2月~3月)。 2.意義,重要性と今後の計画:結果は分析中であるが,被害が大きく復旧に時間を要するほど被災者,特に現地支援者の疲弊は増大,持続し支援活動にも影響が表れて,外部からの支援が一層重要になるとわかった。また,阪神・淡路大震災による影響では震災後18年を経過しているが,被災者の高齢化と災害意識の薄れから被災高齢者が孤立,生活に困窮していく経過がわかった。被災体験者(阪神・大震災被災者)が新たに別の災害(東日本大震災)を覚知した場合の心身への影響についても知見が得られた。 本研究は被災者・支援者・環境の将来像を見据えた支援方法を導き出す手がかりとなり有効に活用できると考える。 今後は東北被災地の3年目の調査を合わせて,長期的看護支援モデルを導き出し広く提示する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然災害後の長期的看護支援モデル構築のための基盤となる3つの調査(被災者・支援者・環境)について,東日本大震災による被災地で1年後の追加調査と2年後の調査を実施した。また,阪神・淡路大震災被災地でも災害復興住宅を中心に3つの調査を実施した。これらより中長期の被災者・支援者・環境に関する有効なデータを収集することができた。2つの被災地の状況をあわせて分析することにより,長期的看護支援に向けた課題および支援モデルを導き出すことができると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は東日本大震災および阪神・淡路大震災による被災者・支援者・環境の調査結果から,それぞれの関係性をふまえて復興に関連する要因(環境・支援・コミュニティ・健康・生活・こころ・経済・発達段階・被害状況)を抽出し,災害が被災者に長期的に与える影響の特徴を明らかにする。それらを基盤にして自然災害後に必要な長期的支援を導き出し,長期的看護支援のモデル化を試みる。 研究過程と考案したモデルは報告書等で発信する。特に東北被災地にはフィールドワークに協力いただいた地域を中心に長期的看護支援について報告するとともに,被災3年後の調査と合わせて今後の支援の方向性を検討,学会等で発信する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主な研究費使用計画は以下のとおりである。 1.データ処理のための研究補助に係る人件費 2.国内外での成果公表(学会発表)のための旅費 3.フィールドワーク(東北での調査結果報告および3年後の調査)のための旅費 4.報告書作成費
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