2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23593204
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大野 かおり 国際医療福祉大学, その他の研究科, 教授 (20300361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
及川 裕子 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (90289934)
野呂 千鶴子 園田学園女子大学, 健康科学部, 准教授 (20453079)
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Keywords | 災害看護 / 長期的看護支援 / 被災者 / 支援者 / 環境 / 高齢化 |
Research Abstract |
本研究では自然災害から長期を経過した被災者,支援者,環境の状況を明らかにし,災害後の長期的看護支援モデルへと発展させることを目的とした。災害後の長期的看護支援について学術的検証を行うのは災害看護学構築にとって意義があり,災害が多発する日本およびアジア大陸で暮らす人々に還元できる研究である。また,東北被災地にも還元でき,災害への備えにも貢献する。 研究は被災者,支援者,環境の視点で,災害発生から1年後,2年後,3年後,18年後の状況を調査するものであった。調査は東日本大震災被災地,阪神・淡路大震災被災地をフィールドにし,質問紙,面接,地区踏査により行った。期間は平成23年12月から平成26年3月であった。 平成25年度には災害3年後の被災者,支援者,環境について調査した。環境に復興住宅建設準備が進む等の変化が見られたのに合わせて,被災者には暮らしのめどが見え始め在宅時間が減少する等の変化もあったが,治療中の病気をもつ人の割合は増加した。支援者の語りにも復興を意識する内容があったが,経済復旧から雇用が促進,人材不足が生じ新たな不安もあった。 全研究期間をとおして以下のことがわかった。災害後長期化すると,高齢化も影響し被災者の健康・生活レベルは低下するため,災害初期から高齢化を予測した長期的な支援計画が必要である。また被災者を長期的に支援するには生活基盤となる環境の整備が重要であり,保健医療福祉と合わせて被災者を包括的に支援することが重要である。看護職者は健康を生活や環境からとらえ他分野の支援とつなぐ役割がある。被災地で働く支援者は被災者でもあり,長期的な支援活動は心身を疲弊させるが,時間の経過とともに外部支援は少なくなる。被害の程度・状況に応じた継続した外部支援計画が重要であり,支援者の抱える課題の解決に向けた支援システムの構築が必要である。
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