2011 Fiscal Year Research-status Report
がん化学療法における口内炎予防のための唾液分泌促進効果に関する介入研究
Project/Area Number |
23593210
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
吉川 千鶴子 福岡大学, 医学部, 講師 (60461539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 憲太郎 福岡大学, 薬学部, 講師 (60509636)
原田 広枝 福岡大学, 医学部, 教授 (60380383)
中嶋 恵美子 福岡大学, 医学部, 准教授 (30461536)
須崎 しのぶ 福岡大学, 医学部, 助手 (20469381)
山下 千波 福岡大学, 医学部, 助手 (30469382)
川口 賀津子 福岡大学, 医学部, 助手 (40469383)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | がん化学療法 / 口内炎予防 / 唾液分泌促進 / 介入研究 |
Research Abstract |
先行研究(平成20年度~22年度)で、がん化学療法におけるレジメン別の口腔粘膜の変化の特徴を検討し、口腔乾燥症状が先行していることが分かった。そこで、口腔乾燥を防ぐことにより口内炎を予防できると仮説をたて、唾液分泌を促進するセビメリン含嗽液を健常者に試用し、その後がん患者に適用した。 当該研究は、(1)セビメリン含嗽による化学的刺激と、唾液腺マッサージによる物理的刺激を比較し口内炎予防効果を検証する。(2)レジメン別の口腔粘膜の変化の特徴に応じた唾液分泌を促す口腔ケアプログラムを作成する。(3)プログラムにそってケア介入を行い評価することを目的とした。 平成23年度は、セビメリン含嗽による臨床試験を30例予定し、現在までに24例(男性5名、女性18名)行った。セビメリン群を実験群、通常ケア群を対照群とする逐次比較試験を計画し、同じレジメンで実施できたのは13例である。悪性リンパ腫が7例で、R-CHOP療法、Hyper-CVAD療法、High dose-MTX-AraC、CD-11療法である。白血病が4例でDNR-AraC療法、Hyper-CVAD療法、High dose-AraC療法、MARD2002療法である。乳がんが1例でICE療法、横紋筋肉腫が1例でIVAC療法である。治療の変更で実験群と対照群のレジメンが異なるのは2例である。口内炎の発症による中止は1例で、嘔気により含嗽中止となったのは2例である。比較試験ではなく、口内炎のハイリスク患者5名(high doseメルファラン、PBSCT前のLEED療法等)にも試用した。 セビメリン含嗽により口内炎が悪化したケースはない。評価はオーラルアセスメントガイド(OAG)と口腔水分率により評価した。目標症例数を得たら統計学的に分析する。 今後、唾液成分に注目し唾液の酸化還元電位を測定する基礎実験を行うために、研究計画書を準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
1.平成23年度は、セビメリン含嗽によるケア介入の比較試験の予定症例数を30例としていた。逐次比較試験は13例で、比較試験ではないセビメリン含嗽のケア介入を含むと24例である。対象症例を得るのに時間を要している。2.唾液成分の酸化還元測定の基礎実験と口腔ケアプログラム試案作成の予定であったが、基礎実験の計画書作成まで終了している。今後、倫理審査を受けて承認後基礎実験を行う予定である。実験用具は、酸化還元測定器を1台購入し、研究者間でパイロットで試験的に測定して精度の確認を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
1.口腔ケアプログラム作成に向けての基礎実験実施健常ボランティア20名を対象にした基礎実験として、セビメリン含嗽による唾液の酸化還元測定、口腔体操・唾液腺マッサージ後の唾液の酸化還元測定を行う。2.口腔体操、唾液腺マッサージにより耳下腺、顎下腺を刺激して唾液分泌を促す口腔リハビリテーションのプロトコール作成。サクソンテストによる唾液量測定、口腔水分計による口腔水分量測定、唾液の酸化還元測定を評価指標にして刺激の程度や方法を検討3.口腔ケアプログラム試案作成歯列や義歯の有無、歯肉の状態に応じた歯ブラシの選択、ブラッシング方法、含嗽液の選択と方法、オーラルアセスメントガイド(OAG)による口腔内観察方法の4項目をもとに口腔ケアプログラム試案作成
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
繰越金が生じた理由:セビメリン含嗽のケア介入に時間を要し基礎実験段階に移れなかったので実験に使用する器械・器具の購入ができなかった。23年度は唾液成分の酸化還元確認計を2台の内、1台購入して性能を確認した。繰り越し金の使用計画:24年度の繰越金の使用計画は以下である。酸化還元確認計の残りの1台(198,000円)、電子天秤(75,000円)、口腔水分計(50,400円)+実験用具消耗品(25,587円)を購入する予定である。合計348,987円次年度研究費の使用計画:セビメリン塩酸塩水和物30例分(234,000円)、口腔ケア用品(60,000円)、OA/PC関連用品(100,000円)、図書(30,000円)、旅費(200,000円)、アルバイト謝金(80,000円)、資料提供閲覧費(50,000円)、通信費その他(70,000円)合計824,000円
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