2014 Fiscal Year Research-status Report
がん化学療法における口内炎予防のための唾液分泌促進効果に関する介入研究
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23593210
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
吉川 千鶴子 福岡大学, 医学部, 准教授 (60461539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 賀津子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 講師 (40469383) [Withdrawn]
原田 広枝 福岡大学, 医学部, 教授 (60380383) [Withdrawn]
中嶋 恵美子 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (30461536) [Withdrawn]
須崎 しのぶ 福岡大学, 医学部, 助手 (20469381) [Withdrawn]
山下 千波 福岡大学, 医学部, 助手 (30469382) [Withdrawn]
緒方 憲太郎 福岡大学, 薬学部, 講師 (60509636)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | がん化学療法 / 口内炎予防 / 唾液分泌促進 / 介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に、機能的口腔ケアのパイロットスタディを行い、機能的口腔ケア前後で(1)酸化還元確認計「Oxidation&Reductuon」(2)口腔水分計「ムーカス」を用いて比較した。酸化還元電位の相関係数は、r=0.65(p=0.002)、口腔水分率の相関係数は、r=0.804(P=0001)で、いずれの測定方法も本実験における妥当性が確認できた。この分析結果を基に、平成26年度は、機能的口腔ケア(口唇訓練、舌訓練、頬ストレッチ、唾液腺マッサージ;耳下腺刺激、顎下腺刺激、舌下腺刺激)の方法を検討し、健康な成人(男子・女子)20名を対象に、酸化還元電位と口腔水分率を測定し比較した。機能的口腔ケア前は、平均+88.15(±23.44) mV 、機能的口腔ケア後は、平均+73.9(±22.3)mV で有意(p=0001)に酸化域から還元域に変化していた。口腔水分率の変化は、機能的口腔ケア前は、平均27.76(±2.52)%、機能的口腔ケア後は、平均30.38(±1.89)%で、有意(p=0.0001)に口腔内が湿潤していた。つまり、機能的口腔ケアは、唾液分泌を促進して口腔内を湿潤させ、唾液の酸化還元電位を酸化域から還元域方向に変化させる可能性が示唆された。以上の結果を基に、機能的口腔ケアプログラム試案を作成した。 併行して、平成24年度から平成26年度の3年間に、がん化学療法を受ける患者55例に、器質的口腔ケアを手段として介入(含嗽、ブラッシング、粘膜・舌のケア、保湿ケア)とインタビューを行い、レジメン別の口腔粘膜の観察データと患者のニーズを明らかにし、介入プログラム開発に向けた基礎データを集積した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年までに、化学的方法による唾液分泌促進効果を期待して、セビメリン含嗽による臨床試験により、唾液分泌を促進し口腔乾燥の改善と味覚障害の軽減、粘膜障害を軽減することが明らかになった。平成25年~26年は、物理的方法による唾液分泌促進効果を期待して、機能的口腔ケア前後で唾液の酸化還元電位を測定し、還元率の高い唾液分泌を促進する方法を検討し、機能的口腔ケアプログラムの試案を作成した。一方、器質的口腔ケアの介入では、含嗽、ブラッシング、粘膜ケア、口腔ケア用具の選択、管理方法に対する患者のニーズを明らかにした。以上より、口腔粘膜炎予防のための介入プログラム開発のための基礎データを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
①入院患者170名の診療録から得た情報、および外来患者73名の口腔内の観察とインタビューで得た情報による、治療レジメン別の口腔粘膜障害の特徴に関するサンプルデータ。②唾液分泌を促進するセビメリン含嗽実施群39例、機能的口腔ケア群20例、器質的口腔ケア介入を行ったがん化学療法を受ける患者群55例、以上のサンプルデータを分析し、介入プログラム開発に進展させる。
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Causes of Carryover |
研究分担者の退職や異動により、旅費に余剰が生じた。また、研究分担者の退職、異動で、ケア介入の実施者の確保が難しく、ケア介入症例数の目標数(60例)を達成するのに時間を要した。結果、データ分析、まとめ、論文作成、公表するまでに至らなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ入力、分析にアルバイトを活用し謝金に充てる。これまでのデータを論文にまとめ、投稿費や報告書の印刷代に充てる予定である。
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