2011 Fiscal Year Research-status Report
実習教育力の向上を目ざした大学教員と看護師の相互啓発教育モデルの開発
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23593212
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高橋 博美 福岡大学, 医学部, 教授 (50154852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥園 夏美 福岡大学, 医学部, 助手 (50469384)
松永 明子 福岡大学, 医学部, 助手 (20571318)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アクション・リサーチ / 看護学実習 / 教育モデル |
Research Abstract |
本研究は、アクション・リサーチにより看護学生の実習教育に関わる大学教員と臨床看護師の両者の臨地における教育力、ならびに協働力を向上させることを目ざした相互啓発の教育モデルを開発することを目的としている。 23年度は、アクション・リサーチの第1段階として、大学教員と臨床看護師がそれぞれ実習教育においてどのようなことを問題と感じているか、またどのように対処しているかを抽出した。教員についてはインタビューデータ、指導看護師については自由記述の質問紙調査データをテキストマイニング(Text Mining Studio4.0.1)を用いて分析した。その結果、教員には【病棟管理者や指導看護師とのコミュニケーションや関係構築への困難感】【指導看護師と看護観や教育観について伝えあう機会を作っていない】【教員の指導や調整方法が個人レベルに止まっていて共有できていない部分が多い】傾向があることが明らかになった。指導看護師は、学生に【受け持ち患者の看護に対する専心】【実習学生としての望ましい振る舞い】を求め、配慮や工夫として【実習環境を整える】【学生のことを考え、理解する係わり】【実践を通して看護を伝える】ことを行っていることが明らかになった。また、4年次学生を対象に実習指導者のケアリング・マインドに関する質問紙調査データを分析し、約半数の学生が指導者との関わりの中で嫌な思いや傷ついた経験をしたと認識していることがわかった。 24年度の実習は、アクション・リサーチの第2段階として位置づけ、これらの抽出結果を反映した改善策を加えて進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、アクション・リサーチの第1段階である現状の問題の明確化に5カ月を予定していたが、分析手法として新規のテキストマイニングソフト(Text Mining Studio4.0.1)を導入した関係上、操作習熟と解析作業の過程に時間を要したことが遅れにつながった。順次、第2段階の改善策の立案・実施・評価にも遅れが生じた。 また、予定していた「他大学や施設における実習教育の実情の視察」「教員と臨床看護師との学習会・研修会の実施」が調整不足や臨床側の組織改編の影響受け、一部のみの実施に終わった。
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Strategy for Future Research Activity |
1.アクション・リサーチの継続:1サイクル目を総括し、2サイクル目を行う。総括では実習教育の改善をとくに、1)教員と看護師の協働の変化、2) 教員と看護師の教育の変化、3)実習受け入れ環境の変化、4)学生の反応の変化、に注目して評価する。2.23年度に不十分な実施に終わった2つの計画「他大学や施設における実習教育の実情の視察」「教員と臨床看護師との学習会・研修会の実施」をできるだけ早期に取り組む。3.上記1,2の成果を活用して相互啓発の教育モデルの検討、ならびに実習指導ハンドブックの検討を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度は、企画していた研修会が実施に至らなかったことから、この事業のために予定していた教材機器の購入経費と専門家・学識経験者招聘経費の一部を次年度に繰り越した。 24年度は、当初の計画に加えて前年度実施できなかった事業を行う。研究費のおもな使用計画は次のとおりである。1.教員と臨床看護師との学習会・研修会の開催、ならびに教材機器設備のための経費、2.講師・専門家の招聘等謝金、3.他大学や施設における実習教育の実情視察のための旅費、4.23年度成果を学会で発表するための旅費
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