2011 Fiscal Year Research-status Report
チーム医療推進に向けた「臨床看護師のための専門性発揮状況自己評価尺度」の開発
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23593215
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
亀岡 智美 独立行政法人国立国際医療研究センター, 国立看護大学校, 教授 (50323415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 登志子 千葉大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (60415560)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 看護師 / 専門性 / 尺度 / 自己評価 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、他職種と連携、協働し、チーム医療の一翼を担う看護師が、看護師としての専門性発揮状況を自律的に改善するために活用できる「臨床看護師のための専門性発揮状況自己評価尺度」の開発である。また、この目的達成に向け、目標1「質的帰納的研究を通した看護師の専門性発揮状況の解明」、目標2「その成果に基づく測定用具『臨床看護師のための専門性発揮状況自己評価尺度』の作成と信頼性・妥当性の検証」の達成をめざす。 そこで、平成23年度は、目標1を達成する意義と研究方法への示唆獲得をめざし、文献検討を行なった。医学中央雑誌WebとCINAHLを用いて文献を検索した結果、チーム医療の一翼を担う看護師の専門性に関わる国内外の文献226件を抽出でき、これらの検討を通し、次の5点の示唆を得た。(1)病院に就業し他職種と連携、協働する看護師が看護の専門家の立場から意識的に展開している実践の全容は未解明である。(2)看護師が看護の専門家の立場から意識的に展開している実践の解明は、専門性の異なる多様な職種と連携、協働する看護師の専門性の明確化につながる可能性が高い。(3)そのためには、面接法もしくは質問紙法を用い、専門性に対する看護師の知覚を反映したデータを収集し、質的帰納的に分析することが効果的である。(4)看護師が、他職種と連携、協働し、専門性を発揮するためには、自己評価が有効であるものの、そのような自己評価に活用できる測定用具は未開発である。(5)質的帰納的研究の成果を基盤にすることにより、信頼性・妥当性を確保した現実適合性の高い測定用具を開発できる可能性が高い。また、当初、データ収集方法として郵送法による質問紙調査を計画していたが、文献検討を通し、面接法と質問紙法それぞれの特徴と本研究の目的を照合し、どちらが研究目的の達成に向けて効果的であるかを慎重に検討する必要性についても示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は、(1)文献検討、(2)文献検討の結果に基づく質問紙の作成、(3)専門家会議とパイロットスタディを通した質問紙の内容的妥当性の検討を計画していた。しかし、チーム医療の一翼を担う看護師の専門性に関わる文献が総数226件に上り、これらの文献の内容の検討に予定以上の時間を要した。 また、当初、質問紙法を用いたデータ収集を計画していたが、文献検討の結果に基づき、面接法と質問紙法それぞれの特徴を十分に吟味し、研究目的の達成に効果的なデータ収集方法を決定する必要性について示唆を得た。しかし、面接法、質問紙法ともに一長一短があり、いずれの方法によってデータを収集するかの決定が難航している。今後、いずれかの方法を採用し、データ収集、分析へと研究を進めていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的に照らし、面接法と質問紙法のいずれを用いてデータを収集することがより適切かを早急に決定し、いずれかの方法によるデータ収集を進める必要がある。当初の計画通り質問紙調査を行なう場合は、平成24年度の比較的早い時期に専門家会議とパイロットスタディを経て内容的妥当性を確保した質問紙を完成する。また、完成した質問紙を用いて、予定通り、平成24年度内に病院に就業する看護師を対象とする調査を行なう。あるいは、面接法を用いる場合は、インタビューガイドの作成とプレテストを通したその適切性の確認を行い、面接を通したデータ収集へと進めていく。平成24年度は、収集したデータの質的帰納的分析までを予定している。平成23年度に生じた研究計画の遅れについては、特に、データの入力や整理等の効率化をはかり、それらを当初の予定よりも短期間で終えられるように努める。また、それを通し、質的帰納的分析に要する十分な時間を確保する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、平成24年度に実施する質的帰納的研究の成果に基づき、「臨床看護師のための専門性発揮状況自己評価尺度」を作成し、専門家会議とパイロットスタディを通してその内容的妥当性を確認し、平成26年度の調査に向けての準備を進める。また、平成24年度までの成果を学会等において発表する。そのため、研究費は、専門家への謝金、パイロットスタディにおける質問紙の配付・回収のための郵送費、収集したデータの入力補助者への謝金、本調査に向けた質問紙や封筒の印刷代、学会等における研究成果の発表に要する旅費等に使用する。
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