2012 Fiscal Year Research-status Report
がん患者の配偶者が受けるソーシャルサポート―尺度開発と精神的健康との関係―
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23593217
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
青柳 道子 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 講師 (30405675)
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Keywords | がん / 配偶者 / ソーシャルサポート / 精神的健康 |
Research Abstract |
本研究の目的は、がん患者の配偶者が受けるソーシャルサポートと精神的健康の関連を明らかにし、概念モデルを構築することである。今年度は、研究計画に沿って以下の内容を実施した。 1.がん患者の配偶者に対するソーシャルサポートの実態を明らかにする:がん患者の配偶者13名(男性2名、女性11名)に対して昨年度実施した面接調査を質的に分析し、彼らのソーシャルサポートの体験を明らかにした。その結果、がん患者のソーシャルサポートの体験は、〔サポートの必要性の自覚〕〔サポートを受けることへの躊躇〕〔サポートを期待する相手の吟味〕〔サポートの取捨選択〕〔受けたサポートの有益性の認識〕〔受けたサポートによる感情の生起〕〔関係の持ち方によるサポートの調整〕の7カテゴリーに集約された。これらの体験において、配偶者はサポートを受けることを躊躇し、サポートを受けないことや、有益でないサポートを受けていることが明らかとなった。 2.患者の家族用ソーシャルサポート尺度および患者の家族用対人ストレス尺度原案の作成:昨年度実施した、面接調査およびがん患者の配偶者または疾患を持つ患者の家族の手記を参考に、各尺度の質問項目を作成した。ソーシャルサポートに加え、上記の研究により明らかとなった有益でないサポートの内容を検討し、ソーシャルサポートの対概念である対人ストレスに着目した尺度を作成することとした。現在「患者の家族用ソーシャルサポート尺度(仮)」および「患者の家族用対人ストレス尺度(仮)」の原案を作成し、予備調査を実施し、調査項目の妥当性の検討を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、昨年度に実施した面接調査内容を質的に分析したことで、がん患者の配偶者がソーシャルサポートに関連して、どのような体験をしているのか、その実態を明らかにすることができ、研究課題の1つが達成できた。また、面接内容に加えて配偶者やその他の家族の手記の分析を進め、「患者の家族用ソーシャルサポート尺度(仮)」と「患者の家族用対人ストレス尺度(仮)」の2つの尺度案をすでに作成できた。現在、予備調査の段階まで進めることができており、H25年度中に協力施設への依頼をし、本調査の実施とそのデータ分析に向けて準備することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、予備調査結果から尺度の修正を行い、H25年度中に本調査を複数施設で実施する予定である。調査後は、尺度の妥当性および信頼性を検討する。また、「患者の家族用ソーシャルサポート尺度(仮)」と「患者の家族用対人ストレス尺度(仮)」の2つの尺度を用いて測定した、ソーシャルサポートおよび対人ストレスと、精神的健康の関連、他の要因との関連を明らかにする。各変数の関連を説明するパス図を描き、「がん患者の配偶者が受けるソーシャルサポートと精神的健康の概念モデル」の最適モデルを検討し、その成果を国内外の学会に発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予備調査のデータ収集・分析の効率化を図ったことによって生じた使用残額は、次年度の質問紙の印刷、発送、回収、データ入力および整理等に活用する予定である。具体的には、25年度は研究補助の予算が100千円の予定であったが、200千円を追加し合計300千円を研究補助の謝金とする予定である。分析および研究手法の情報収集のために学会および研修会への参加が必要であるため、次年度国内旅費に100千円を追加し、活用する予定である。また、質問紙の郵送等の費用として50千円を追加予定である。
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