2011 Fiscal Year Research-status Report
リンパ浮腫に対する運動療法プログラムの開発と効果の検証
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23593219
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
野戸 結花 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (80250629)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 看護学 / がん症状緩和 / リンパ浮腫 / 運動療法 |
Research Abstract |
本研究はリンパ浮腫に対する複合的理学療法の「圧迫下での運動療法」の効果的なプログラムを開発し、効果を検証することを目的としている。平成23年度は運動の種類による接触圧の変化を測定し、効果的な運動方法を検討した。【方法】女性健常者18名に前腕4か所(前腕最大周囲径部位で外側、前面、内側、後面)、上腕8か所(肘関節から1/3、2/3周囲径上の、外側、前面、内側、後面)にエアパック(直径2cm)を専用のカバーテープを用いて貼付しスリーブを着用した。座位で上肢を自然に伸ばした状態を基本姿勢として、掌握運動、肘関節屈曲90度、机に手掌を押しつける動作(肘関節90度、150度)、机を手掌で持ち上げる動作(肘関節90度、150度)、身体の正面で左右の手掌を重ね押しつけ合う動作(右手が上、右手が下)の8種類の運動を行い、各部位の接触圧を測定(AMI 3037-SB-hP(株式会社エイエムアイ・テクノ))した。【結果・考察】基本姿勢において前腕から上腕に向かって圧勾配はあるが上腕の上下では明確な圧勾配は見られず、上腕では外側や前面に比して後面・内側の圧が弱かった。前腕の接触圧上昇に有効な運動は、掌握運動、肘関節屈曲90度、机を手掌で持ち上げる動作(肘関節90度、150度)、身体の正面で左右の手掌を重ね押しつけ合う動作(右手が下)であり、運動の種類による差は見られなかった。上腕では掌握運動以外の全ての運動で接触圧が上昇した。上腕前面の接触圧は机を手掌で持ち上げる動作(肘関節90度、150度)、身体の正面で左右の手掌を重ね押しつけ合う動作(右手が下)で上昇率が高かったが、上腕内側及び後面の接触圧の上昇は運動の種類で差がなかった。以上から、スリーブ着用時の運動で接触圧は上昇し、リンパ還流促進の効果があること、さらに関節運動を伴わない等尺性運動でも接触圧は変化し、排液効果があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備実験の結果、当初の予定よりも運動の種類を増やしたことで被験者の獲得に時間がかかったことで予定人数に至らなかったが、データ収集はおおむね予定通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降の方針 対象者の年齢範囲を拡大し、より実践に即した状況での複合的理学療法の「圧迫下での運動療法」の効果的を検証する。また、運動の種類を拡大し、上腕内側及び後面に効果的な運動方法を探索する。【方法】(1)対象者の右上腕周囲径を測定しスリーブサイズを選択。(2)前腕4か所(前腕最大周囲径部位で外側、前面、内側、後面)、上腕8か所(肘関節から1/3、2/3周囲径上の、外側、前面、内側、後面)にエアパック(直径2cm)を専用のカバーテープを用いて貼付。(3)エアパックの上からスリーブを着用。(4)座位で上肢を自然に伸ばした状態を基本姿勢として、身体の正面で左右の手掌を合わせ押しつけ合う運動、指を組み上肢を左右に引き合う運動等を行い接触圧の変化を測定する。測定にはAMI 3037-SB-hP(株式会社エイエムアイ・テクノ)を使用する。 以上から、特に上腕内側及び後面の接触圧の上昇に有効で、且つ、関節運動を伴わず、日常的に簡便に実施可能な運動を探索し、上肢リンパ浮腫患者のリンパ流促進に効果的な運動プログラムを構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
測定機器に関する消耗品の購入、研究結果公表のための旅費、研究協力者への謝金に使用する。
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