2011 Fiscal Year Research-status Report
初期・二次救急医療施設における看護職を中核とした多職種連携モデルの考案
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23593222
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
佐々木 吉子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 准教授 (90401356)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 智子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (20151615)
川本 祐子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (70527027)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 救急医療 |
Research Abstract |
当該年度は、初期・二次救急患者の受け入れを行っている中小規模の医療施設の看護師を対象として、フォーカス・グループ・インタビューを行った。調査内容は、初療外来における各職種の役割、業務内容、質と安全を保障するために個人、看護間、および他職種との連携において実施している工夫とその効果、困難や課題と考えていること等についてであった。 対象者6名はいずれも各施設でリーダー的役割を担っており、消防隊からのホットラインを受け、患者の受け入れ調整、医師との交渉、救急病床のベッドコントロールなどを担っていた。所属施設は初期・2次の受け入れ施設であることを標傍しているが、実際には3次レベルの重症患者の受け入れをすることもある。3次施設と異なり、救急外来には看護師しかいないことが多く、看護師のみで患者の受け入れの決定や初期対応をすることもある。困難を感じていることは、患者の受け入れの可否について医師と意見の相違があり、当該施設で許容できない患者の受け入れてしまったときや、受け入れを断ったケースについて、その後患者が再搬送されることなどである。また、いずれも地域の中核病院ゆえに、元々かかっている患者は受け入れを断らないという暗黙のルールがあるが、現実的には当直医が手術中で受け入れを断らざるを得ないこともあり、その後の苦情処理に苦慮する。工夫していることは、医師と事後検証会を持ったり、トリアージノートに記録を残して医師と相互確認をするなどである。また、スタッフのトリアージ能力を育成するためには、半年程度の指導期間を設けたり、重症者の搬入などがあった場合に学習会をするなどが述べられた。 チーム連携の秘訣として、全員が医師との信頼関係の構築を挙げた。そのためには努めてコミュニケーションをとること、気遣いを忘れないようにしており、そうすることで医師からも気遣いを受け信頼が高まっていくと感じていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、初期・二次救急医療施設に勤務する看護師へのヒアリング結果に基づいて質問紙を作成し、全国調査を行うことまでを予定していた。ヒアリングについては、予定通り6名の看護師に対してインタビューを実施することができた。なお、その結果に基づいて質問紙を作成し、救急医(研究協力者)にスーパーバイズを受けて内容調整する予定であったが、現在、研究方法について再検討しており、調整に至っていない。 そこで、24年度は早々に救急医(研究協力者)の助言を得ながら質問項目を調整して質問紙を完成させ、施設倫理委員会の承認を経て、全国調査の実施に至れるよう準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は、23年度に実施したヒアリング調査の結果に基づいて、「初期・二次救急医療施設における多職種連携の実情と方向性」について明らかにすべく、初期・二次救急医療施設に勤務する看護師、医師を対象として、現場での医療行為の担当(役割分担)・実施状況、問題点、看護師の役割拡大に向けた要望や可能性について、全国調査を行う。先だって、質問紙の作成、倫理手続、対象施設の選定(全国500施設を無作為に選出し、各施設に7部ずつ配布;医師2部、看護師5部)を行う。 また上記結果を分析し、「初期・二次救急医療施設における看護師を中核とした多職種連携モデル」について検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査費用として、病院要覧の購入、質問紙の印刷費、発送費(通信)を、また分析に際して、統計手法のセミナー参加を、統計処理および事務的業務にかかる人件費を主な支出として使用を計画した。
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