2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23593225
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
稲垣 美智子 金沢大学, 保健学系, 教授 (40115209)
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Keywords | 糖尿病腎症 / 患者教育 |
Research Abstract |
糖尿病腎症・初期患者に対する教育の実態調査の準備をした。その一つは、石川県における医療機関で患者教育に当たっている認定看護師、糖尿病療養指導師を含む看護師に面接調査を実施した。その結果、医師との共同で腎症のスクリーニングが進んでいる機関と、準備状況にある機関があるが、糖尿病腎症初期への系統的な患者教育を実施している機関はなかった。また糖尿病腎症、特に初期に特化した患者教育については、文献上にもほとんどないことを確認した。そこで、これまでの研究成果および関連文献から教育内容の試案作りをした。 また、スクリーニングが進んでいる2つの医療機関において、糖尿病腎症初期と診断された患者を対象に面接調査を実施した。その結果、腎症を前向きにとらえて、今後の療養行動を「糖尿病患者としての再出発」ととらえる患者と、「やっと持ちこたえている体に腎症が重なることの怖さから糖尿病そのものを遠ざけたい」と考え、やれることをやっていこうとする、いわゆる消極的に対応する患者に大別されるという仮説を得た。消極的対応の患者はがんを併発した病歴をもつ患者であった。糖尿病とがんの併発は近年注目されており、また糖尿病腎症併発は糖尿病罹病期間がある程度あることから、高齢のことが多いことよりがんの病歴のある糖尿病患者の腎症管理は重要な視点であると示唆を得た。 そこで、これらの結果を踏まえた大規模調査のための調査方法を準備し、さらに協力の得られた医療機関で教育介入試案の導入のための準備を行い、本調査にむけて準備を整えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では、調査が終了する予定であったが、準備状態を整えるにとどまった。理由は、糖尿病腎症の関心は高いものの、実際の医療機関における準備態勢が不十分で、この期間においての調査が、本研究目的にかなうデータになるか否かが危惧されたため、基盤づくりの活動に時間を要したからである。
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Strategy for Future Research Activity |
糖尿病腎症重症化予防に対する診療報酬により、飛躍的に医療機関の関心が高まり、調査や介入の環境は整った。糖尿病学会、糖尿病協会、医師会で合同した組織である「糖尿病対策推進委員会」の理解も得ることができた。また、既存の看護師の研究組織の協力も得ることもできた。25年度は調査などを実施する基盤が整ったので、早期に、研究協力者の配置を決め、データ収集可能なシステムを構築し推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画書の通り、調査の実施とツールの有効性を確認する。調査及びツールの有効性については、旅費および謝金を使い実施する。物品は運動量測定機器などツール開発に必要な物品を購入する。
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