2012 Fiscal Year Research-status Report
がん看護におけるアウトカムマネジメントに関する研究
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23593226
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上條 優子 信州大学, 医学部, 講師 (40530431)
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Keywords | がん看護 / アウトカムマネジメント |
Research Abstract |
がん看護におけるアウトカムマネジメントの研究として、平成24年度は、平成23年度の研究結果を踏まえて、看護に左右される患者アウトカムとしてがん患者の「痛み」に焦点をあて検討した。方法は、まず、2011年4月から2011年12月の間にA病院に入院した患者および抗がん剤治療を受けた外来患者に、痛みについての質問紙調査を行った。そして、痛みを訴えていた患者の薬物療法や看護師が行ったケアを調査し、痛みに効果があった看護ケアを前向きに分析した。 何らかの痛みを訴えていたのは、入院患者43名中24名(55.8%)、外来患者182名中88名(48.4%)であった。痛みの原因はがん性疼痛だけでなく、片頭痛・膵炎の併発・放射線宿酔による頭痛・放射線照射による皮膚障害・腰痛・抗がん剤の副作用である神経障害による痺れからくる痛みなど非がん性の痛みも存在した。また、がんの種類、病期、年齢、性別などに関係なく、がん患者は何らかの痛みを抱えていた。次に、QOLと痛みの関係を調査した。QOL(FACT-G使用)得点は、かなり痛い、多少痛い、わずかに痛い、痛みはない、の順でQOLが低かった。最後に痛みに効果のある看護ケアについて検討した。まず、痛みの原因、痛みの頻度や1日のパターン、増悪因子、軽減因子などの詳細な痛みのアセスメントを行うことが効果的なケアにつながることがわかった。痛みに効果のある看護ケアとは、鎮痛剤や鎮痛補助薬の管理・傾聴・会話・罨法・ポジショニング・マッサージ・ベッドマットの交換・入浴時の除圧マット使用・食事変更・副作用症状への対処・医師との仲介・コメディカルとの連携・家族との面会を考慮した日程調整、リハビリであった。また、患者が認識していた痛みに効果のあった看護ケアは、飲み薬、坐薬、湿布、マッサージ、温める、冷やす、会話があげられていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は平成23年度の研究結果を踏まえてがん患者の痛みのケアに焦点をあて、がん看護のアウトカムマネジメントを検討した。痛みの原因、治療、行われたケアとその効果について、前向きに調査を行い、患者および看護師から痛みのケアの評価をしてもらった。その結果、薬物療法のみならず、看護ケアが痛みの緩和に効果があることがわかった。 研究目的の1は平成23年度に達成していたため、平成24年度は研究目的の2であげた、明らかになった看護ケアと患者アウトカムについての関連を探るために調査解析を行った。その結果、がん患者の痛みに対して看護ケアが有効であることがつかめた。取り分け、痛みについてのきめ細やかなアセスメントが痛みを緩和するケアにつながるため、このアセスメントが大切であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的の2であげた、明らかになった看護ケアと患者アウトカムについての関連を探る、については平成24年度に解析を行い、痛みに対しての看護ケアが有効であることがつかめた。取り分け、痛みについてのきめ細やかなアセスメントが痛みを緩和するケアにつながるため、このアセスメントが大切であることがわかった。平成25年度は癌患者の痛みの緩和について、看護ケアのアウトカム指標とするために、いつ、どのように、何を測定することが妥当なのか、看護ケアのアウトカムマネジメントとして有効なのかを検討していく予定である。 また、痛みとスピリチュアルなQOLとの関連についても解析していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし。
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