2012 Fiscal Year Research-status Report
がん医療におけるギアチェンジを伝えるアプローチ法の開発
Project/Area Number |
23593235
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
寺町 芳子 大分大学, 医学部, 教授 (70315323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 志津枝 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00149709)
東 清巳 熊本大学, 大学院生命科学研究部看護学講座, 教授 (90295113)
植田 喜久子 日本赤十字広島看護大学, 看護学部, 教授 (40253067)
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Keywords | インフォームド・コンセント / ギアチェンジ / 終末期がん患者 |
Research Abstract |
本年度は、シームレスな緩和ケアの提供を目指した看護支援モデルの構築に向けて、チーム医療の協働者である医師が治療の開始時から終末期医療の移行までに患者に行っている病状や治療法の説明内容を明らかにすることを目的とし、臨床経験約15年の医師5名に半構成的面接を行い、逐語録から質的帰納的に分析した。 研究結果:医師は、患者のがんの病態やStage、治療の効果、予後を予測して、説明内容を考えていた。Stage1~3では、患者の関心(予後や治療効果)を踏まえ、evidenceに基づく予後や根治治療を目指す方針を伝え、再発の可能性も伝えていた。Stage4や再発・転移した患者では、病期や病態は事実を伝えていた。しかし、患者の病状進行への懸念を踏まえて予後については、患者が質問した場合長めに伝え、家族には事実を伝え、延命が治療目的であると伝えていた。患者が終末期の事実が受け止められるように、secondレベルの治療が始まる時には、緩和ケアやホズピスの話を少しづつ始めていた。治療がPDとなった時は、患者や家族の治療への要望を踏まえ、患者のPSが高ければ治験の可能性を、低ければ、先延ばしせず、家族と一緒に、予後は触れず、療養の場と合わせて緩和ケア中心の終末期医療への移行方針を伝えていた。 患者については、インタビューした医師より紹介がないため、インタビュー医師とは関係なく、がん看護専門看護師が関わる病院の患者を含めて、4名の患者のインタビューを行い分析の途中である。また、看護師に関しては、一般病棟の看護師では実践が見られないため、対象者をがん看護専門看護師に変更し、現在5名の看護師のインタビューを終えた。研究対象者や研究対象施設の変更を含め、A大学病院の倫理審査を受け、研究対象者の同意を得て行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、ギアチェンジを行ったがん患者や現在、2ndあるいは3rdレベルの化学療法を受けているがん患者とその治療や看護に携わっている医師、看護師それぞれが、ギアチェンジを伝えるということやそのタイミング、伝え方についてどのような認識を持ち、ギアチェンジがどのように伝えられ、どのような意思決定への支援が行われているのかを明らかにし、がん医療における、ギアチェンジを伝えるアプローチ法の理論的根拠と基礎的データへの示唆を得る本研究の目的に対して、研究対象医師、患者、看護師のデータ収集と分析を行う予定であった。その点に関して、本年度は、研究代表者が病気療養のため半年ほど研究の進行が遅れた。 研究対象者の医師についてはデータ収集と分析が終わり、ある程度の結果が明らかになった。患者については、当初の研究対象の医師からの照会がなかなか得られないため、研究協力が得られる病院を探し、新たな研究協力病院でデータ収集ができる段階となった。看護師については、研究目的を明らかにするには、一般病棟でのICに関する看護師の援助の実態からは、適切なデータが得られないと判断し、研究対象者をがん看護専門看護師に変更することにより、目的とするデータ収集が可能となり、現在、研究対象者のがん看護専門看護師の研究同意とインタビューを行っている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
7月頃までに、患者は残り3名、看護師は、4名のインタビューを予定している。 医師の研究結果は、6月の緩和医療学会で発表予定であり、患者・看護師の結果は、2月のがん看護学会で発表できるように、インタビューによるデータ収集と並行して、8月頃までに分析が終わることを目指している。今年度末までには、医師、患者、看護師のそれぞれの分析結果から得られた基礎的データを基に、がん医療における、ギアチェンジ(終末期)を伝えるアプローチ法として、治療の開始時から終末期医療の移行までのインフォームド・コンセントにおける看護援助モデルを構築を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究対象者へのインタビューにかかる旅費と逐語禄の作成費用、共同研究者が分析のために集まる旅費、関連学会での発表や参加のための旅費、参加費、インタビュー・分析・学会発表等で必要な事務用品や消耗品の購入、研究結果のまとめの印刷等に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)