2012 Fiscal Year Research-status Report
家族及び職場環境システムを統合した包括的禁煙継続支援プログラムの開発
Project/Area Number |
23593236
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大野 佳子 北里大学, 看護学部, 准教授 (20347107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 奈美 北里大学, 看護学部, 教授 (90311406)
金子 あけみ 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (80588939)
森 淳一郎 信州大学, 医学部, 講師 (20419401)
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Keywords | brief family interview / 慢性疾患 / 家族システムズアプローチ / プログラム開発 / 禁煙支援 |
Research Abstract |
本研究の2年目は目的の一つである,従来の禁煙プログラムの中に効果的な家族システムアプローチを取り入れたプログラムを開発することである。 1点目は,初年度に行った文献レビューに国内外の最新の知見を加えても家族システムズアプローチを取り入れた禁煙支援研究は非常に少なくプログラム開発評価まで至っていないことが明らかになった(「家族を対象とする看護研究の特徴,2012」, “Construction of word maps of Japanese Medical Subject Headings (MeSH) in family nursing research”, 2012)。 2点目に,我々はインドネシアおよびカナダにおける国際共同会議に参加し,15分間インタビューのようなbrief family interviewの方法が,初学の現場看護職にとっては使いやすくなじみやすいという報告があった。特にアイスランドでは病院をあげて全ての診療科で取り組んだ結果の一部が報告され,禁煙プログラムのような慢性疾患においても有効である可能性の示唆を得た。 3点目にプログラムを効果的に運用するために,noviceとexpertの差異と共通点について患者家族と支援者のインタビュー場面をシミュレーションし逐語録を分析した結果,プログラム内容だけでなく,瞬時に背景となる家族システムや環境をアセスメントし,対象者へ会話の中で適切にフィードバックする技術を要することが明らかになった(“Comparison between an expert and novices using the Calgary Family Assessment and Intervention Models (abbreviation).”,2012)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つである,従来の禁煙プログラムの中に効果的な家族システムズアプローチを取り入れたプログラムを開発することに照らし合わせると,国内外の文献レビューをはじめ,実現可能性と期待される効果についての様々な検討が必要である。今回参加した国際共同会議は,家族システムズアプローチを実践の場でいかに活用しているか,各国の先進的な取り組みを紹介し情報共有し今後の方策を探る目的で開催されたものであり,有意義な示唆を得た。また,プログラム開発だけでなく,対象者との会話の中で,背景や環境をアセスメントし,適切にフィードバックする技術を向上する研修プログラムを含む必要性が明らかになり,次年度の調査研究に生かすことのできる結果を得たため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方策は,家族システムズアプローチを取り入れたプログラムを実施,評価し,より効果的なプログラム開発への示唆を得ることである。 具体的には,常時50人未満の職場の物的・人的・社会経済的環境を一つのコミュニティとして捉え,家族システムズアプローチを取り入れたbrief family interviewのシナリオを用意し,禁煙支援プログラムに適用する。ニコチン補充療法等の保険適用者または希望者はこれを援用する。調査対象は一般企業に勤務する20~59歳の従業員(1セクション50人以下の職場)のうち喫煙者および保健指導に従事する看護職である。評価指標は,呼気一酸化炭素濃度・%COHb濃度,社会的ニコチン依存度,禁煙の有無,支援評価アンケート,抑うつ尺度CES-D,SF36,職場健診結果等である。禁煙支援の中で,会話技術を向上するために,分析結果を踏まえ家族システムズアプローチに基づく効果的な対話のシナリオについて看護職に対して研修を行ったうえでプログラムを実施し,比較評価を行う。 なお,一連の禁煙支援のプロセスにおいて,家族システムズアプローチを実践の場で先進的に取り組んでいる地域や国内外の共同会議により情報共有し,連携をとりながら進めていく計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として,プログラムコンテンツの掲載・通信に用いるiPadを各施設の禁煙支援従事者との情報共有ツールとして活用する。消耗品については研究に必要な日本語版質問紙,メモリーカード,保存用CD-R等は実勢価格に応じて購入,使用する。また,録音再生機器ICレコーダ購入予定16台のうち10台は購入済みであり残りの6台を購入予定,禁煙支援中の会話を録音と再生に利用する。 旅費については,分担研究者との打合せ,研究協力機関等との会議,国内外の学会において最新の知見を得るため,または成果発表のため,旅行社等の見積額を参考にして執行する。 業務委託費は,マンパワーが少ない職場における禁煙指導の状況を鑑み,介入を行うには現在の勤務体制以上の禁煙指導者の人数が必要になるため医師,保健師または看護師の雇用の費用が必要である。もしくは研究協力期間に依頼することが必須である。また,研究協力者である禁煙支援ための保健指導者および指導対象者への研究への協力の謝礼を執行予定である。さらに,研究支援者雇用費は,質的研究時の逐語録作成などのデータ入力,資料整理や郵送業務などを依頼することで研究の効率性を図る上で必要と考え,執行予定である。
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