2011 Fiscal Year Research-status Report
温存術後に放射線治療を受ける乳がん患者の回復を促進する看護の質評価指標の開発
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23593242
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Research Institution | Gunma Prefectural College of Health Sciences |
Principal Investigator |
小林 万里子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (20433162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二渡 玉江 群馬大学, 保健学研究科, 教授 (00143206)
中西 陽子 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 教授 (50258886)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 温存術 / 放射線治療 / 回復 / 看護の質 / 評価指標 |
Research Abstract |
第1の研究では,郵送による無記名式質問紙調査を行い,乳がん看護に関わりの深い看護師の看護ケアの特性を明らかにした.乳がん看護認定看護師(CN)と乳がん看護に関わる看護師(NS)の放射線治療期の看護実践では,放射線治療前15項目(55.6%),治療中18項目(100%),治療後9項目(45.0%)で有意差がみられ,放射線治療前・中・後において看護ケア実施割合は,NSの方が専門性を有するCNより高かった.乳がん看護に携わる看護師が,担当する乳がん患者に関わる場で看護師役割を確実に果たしていくことが重要であること,必要に応じて専門性を有する看護師と協働や連携を強めることで看護ケア実施割合を押し上げられることが明らかになった.この成果は看護ケア充実に影響する要素を包含し,温存術後放射線治療期のケアプログラムの構築や看護の質向上の資料となると考える. 第2の研究では,温存術後放射線治療期の乳がん患者の特性を明らかにし,患者の視点から回復促進に関わる看護ケアの要素の検討を進めている.縦断的調査が完了した12名では,QOL得点は術後が低く,照射終了後1カ月がもっとも高い傾向を示したが,有意差はなかった.また,照射が開始され平均値が下がったQOL項目は「だるさ」,「皮膚の不快」,「治療を受ける怖さ」であった.調査したQOL,POMS,自己効力感の関連では,(1)照射中間過ぎのQOLとPOMS下位項目は全てで相関関係がみられた,(2)QOLと自己効力感では照射中間過ぎで相関がみられた,(3)POMSと自己効力感では照射開始時のPOMS抑うつと自己効力感,中間過ぎPOMS当惑と自己効力感に相関がみられたことが主な特徴であった.これらから,照射開始時に伴い悪化する身体症状をコントロールすること,放射線治療の準備状態を整えて導入から施行中の患者の状態に合わせて関わることの重要性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
看護師調査では,一部をまとめて学会で発表し,論文は北関東医学会で原著採択され発刊予定である.患者調査では2施設で調査進行中である.このうち,面接調査では15名予定中10名までが完了し,質問紙調査では,30名予定のところ29名の協力が得られ,縦断的調査が完了したのは12名である.これまでに温存術後放射線治療期の乳がん患者への看護実践の特性が看護師側から明らかになっている.また,患者調査・分析は,当初計画の予定通りに進み.温存術後放射線治療期の患者特性や支援ニーズに関しての傾向が見え始めている.看護師特性と患者体験の2側面を合わせた,現実的な温存術後放射線治療期の看護の質を担保する要素を抽出する必要があり,目的達成の過程として,おおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は,23年度の患者調査を継続する.また,調査からの看護実践特性,患者特性やニーズと文献検討で得られた回復を促進,看護を充実させる要素を検討し抽出する.その後,構造・過程・結果の3領域に沿って看護の質を評価する項目案を作成する.作成した暫定版質評価指標案について,研究分担者,乳がん看護の専門性を有す看護職者数名,研究代表者所属大学に併設の放射線学部で乳がん研究を専門とする教員に協力を依頼し,指標の内容や言い回しなど意見聴取を行い,精錬した修正版の質評価指標作成を目指す. 平成25年度以降は,質評価指標の臨床適用可能性の検討と研究成果の公表を進める.温存術後に放射線治療を受ける乳がん患者に関わる看護師を対象として,実践状況,実状にそぐわない,あたりまえ,ここまでできないなど修正版質評価指標の項目に対して質問紙調査を実施する.また,使い勝手や項目内容などについて自由記述でも意見聴取し,表面妥当性について検討する.修正版質評価指標を看護師が活用する前・後での患者側からの評価も受けられるよう努めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していた投稿論文の採択・発刊による投稿費精算が24年度始めとなること,応募した国際学会発表の参加費支払いを採択結果待ちとしたことで23年度助成金額のうち,157,920円を24年度に流用とした.平成24年度助成金は70万円で研究費内訳は,以下の予定である.1.物品費:消耗品と図書などに23万円.2.旅費:国際学会への参加・成果公表の他,研究能力の研鑽に努めるため学習会やセミナーなどへの参加費として旅費30万円.3.人件費・謝金:データ入力・整理のための人件費,研究の信頼性・妥当性確保のため,データ解析や解釈時に専門的知識の提供に必要な予算に12万円.4.その他:学会参加費や投稿費負担などで20万円とした.23年度からの流用費を含んでいる.
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Research Products
(1 results)