2011 Fiscal Year Research-status Report
治療期にあるがん患者へのホリスティック・アプローチを基盤とするケアモデルの開発
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23593253
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
森下 利子 高知県立大学, 看護学部, 教授 (80174415)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | がん治療期 / ホリスティック・アプローチ / ケアモデル |
Research Abstract |
本年度は、本研究の目的である「治療期にあるがん患者の看護に携わる看護師が、がん治療に伴う不確かな状況にある患者を全人的に支え、患者が主体的に治療に参画し自己治癒力を高めながら療養生活を維持できるよう援助することに資するホリスティック・アプローチを基盤とするケアモデルの開発」のための第1段階として、患者に焦点を当てて、患者が自分の受けている看護を全人的あるいはホリスティックなケアと捉えている要素を明らかにするため、面接調査を行った。 本年度はがん診療連携拠点病院で治療中の患者15名を対象にインタビューを実施する予定で、これまでに10名のインタビューを終え、データ分析と面接を繰り返しながらデータ整理を行った。現段階までの成果は、面接を行った患者は、がん治療や治療を受ける様々な局面で、「医師や家族から支えられている」「家族の存在の大きさ」は自覚していたが、本研究で明らかにしたい看護師の提供するケアについては、全人的あるいはホリスティックなケアを受けているという認識に乏しく、看護師に全人的な関わりや役割を期待していない認識が明らかになった。 がん患者は治療期において常に不確かさの伴う状況の中で治療や療養生活を続けており、患者の治癒力を引き出し、免疫力を高めていく看護アプローチは、がん看護にかかわる看護師の重要な役割である。そのために患者からさらに豊かなデータが得られるように、インタビューの内容、聴き方を洗練化させ、リッチなデータ収集を行っていく必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度の実施目標は、文献検討を基に半構成的インタービューガイドを作成して、がん診療連携拠点病院でがん治療を行っている患者15名程度を目標に、がん患者が治療を受けている中で、1.全人的ケアあるいはホリスティックなケアを受けたと思えた場面・状況、ケア内容、理由について、2.全人的ケアあるいはホリスティックなケアを受けたと思えなかった場面・状況、ケア内容、理由について、具体的に語ってもらう面接調査を行う計画であった。 現在までに10名の患者にインタビューを実施し、継続比較法によりデータ分析を繰り返し行いながら、質的分析を行っているところであるが、本研究の目的である全人的ケアあるいはホリスティックなケアについて、看護を受けている患者自身が看護師の提供するケアについて全人的ケア、あるいはホリスティックなケアを受けていると思える体験が乏しかったり、あまり認識できていないため、本研究で明らかにしようとする目的に該当するリッチなデータが収集できていないといえる。そのため、目標とするデータ収集が当初の計画からやや遅れている状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずは、23年度計画でやや遅れているがん患者を対象にしたデータ収集において、面接調査における半構成的インタビューガイドの見直しと洗練化を行うとともに、対象数を増やしてリッチなデータ収集が行えるようにし、データ分析から結果をまとめ上げることができるようにする。 次いで、24年度の研究目標であるがん診療連携拠点病院でがん看護に携わっている臨床経験5年以上を有するエキスパートナース15名程度を対象に、1.全人的ケアあるいはホリスティックケアを実践することができたと思えた場面や状況、ケア内容、理由について、2.全人的ケアあるいはホリスティックケアを実践することができなかったと思えた場面や状況、ケア内容、理由について、3.ホリスティックケアを実践するうえで大切にしていることについて、半構成的インタービューガイドを用いて面接調査を行い、質的帰納的分析方法を用いて、カテゴリー化を繰り返し行い、分析結果をまとめ上げる予定である。データ分析に当たっては、がん看護学の研究者にスーパーバイズを依頼して真実性、妥当性の確保に努めながら進めて行く。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
面接調査(350,000円):内訳 賃金資料収集・整理(2人×3,000円×10月),面接調査対象者謝品(患者 10名×2,000円,看護師 15名×3,000円),賃金 逐語録作成(3人×15,000円×5月)専門的知識の提供(160,000円):内訳(2人×10,000円×8月)消耗品費(90,000円):内訳 記録用メディア,インク等,印刷用紙,ファイル類旅費(100,000円):内訳 東京2日×1回)
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