2011 Fiscal Year Research-status Report
島嶼に居住する在宅酸素療法患者の在宅療法支援モデルの構築
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23593254
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Research Institution | Okinawa Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
石川 りみ子 沖縄県立看護大学, その他の研究科, 教授 (50316212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 裕子 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助教 (50347720)
玉城 久美子 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助手 (90617507)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 在宅酸素療法患者 / 島嶼 / 療養支援 / 支援体制システム / 外来看護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、離島に居住し在宅酸素療法(以下HOT)を受けている患者が自己管理能力を高めて、社会参加を促進するための支援モデルを構築することである。一年目の目標は、医療機関の外来部門にHOT患者に対する支援体制のシステムをつくるための基礎作りであった。そこで、M島基幹病院の外来部門でのHOT患者の患者教育および支援体制の現状・課題とHOT患者の在宅療養状況と地域活動の現状を明らかにし、療養支援に必要な事項を検討することを目標に、以下の活動を行った。 はじめに、M島のHOT患者を有する基幹病院の外来看護に関わる看護師等、内科医師、地域の看護職、福祉職、および大学教員を構成メンバーとするHOT患者の在宅療養支援検討会を立ち上げるとともに、HOT患者の在宅療養に関する情報交換やHOT患者ならびに外来看護師を対象とした現状調査を行った。その結果からHOT患者の多くが生活上困った体験をし、地域活動参加もほとんどが行えていない状況であること、外来では、HOT患者に療養相談・教育支援が行われていないことが明らかになり、外来看護師の療養指導に関する実践力向上に向けた支援とHOT患者の療養における支援の必要性が示唆された。そこで、在宅療養支援検討会の下部組織のワーキンググループを立ち上げ、療養指導に関する実践力向上に向け検討を行った。 在宅療養支援検討会は毎月1回ICT環境も活用して定期的に開催され、活動の方向性や内容を審議した。ワーキンググループは指導マニュアル案、パンフレット案、呼吸管理日誌案を作成するとともに、看護師の指導力向上のための研修会、講演会を企画・開催した。これらの活動をとおして、看護部、外来看護師に、HOT患者の在宅での療養状況やHOT患者ニーズが理解できたこと、多忙な外来業務の中でも療養指導についての支援の必要性への認識の変化が見られたことは意義あることと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の一年目の目標は、島嶼の医療機関の外来部門にHOT患者に対する支援体制のシステムをつくるための基礎作りであった。それはおおむね達成したと考える。 それは、M島の基幹病院の看護部並びに外来看護師を中心としたHOT患者療養支援検討会並びにワーキンググループを組織し、在宅酸素療法指導マニュアル案、在宅酸素療法パンフレット案、呼吸管理日誌案を作成し次年度の準備をすすめていること、看護師スタッフの教育ニーズをとらえて、それに応えるよう研修計画や講演会の企画、実施を遂行できたこと、当該病院の看護部、外来看護師に、HOT患者の在宅での療養状況やHOT患者への療養支援のニーズが理解され、多忙な外来業務の中でも療養指導等支援をしていかなければならないことなどの認識の変化が見られたことは支援体制システムづくりに不可欠なことと考える。 これらの成果に至った理由として考えられることは、活動の中核となる組織作りに、HOT患者を有する基幹病院の外来看護に関わる看護責任者である看護部、外来師長、外来看護師等をはじめ、内科医師、地域の看護職、福祉職、および大学教員を構成メンバーとするHOT患者の在宅療養支援検討会を立ち上げて、検討会を中心に活動を進めたこと、HOT患者ならびに外来看護師を対象とした現状調査を行いそのデータに基づいて、HOT患者の患者教育および支援体制の現状・課題、並びにHOT患者の在宅療養状況と地域活動の現状を共有して進めたこと、さらに、在宅療養支援検討会の下部組織に外来看護師を中心としたワーキンググループを立ち上げ、療養指導に関する実践力向上に向けた研修会・講演会の企画・実施を主体的に行ったことがあげられる。研修会、講演会の開催をとおして、主催者としての主体的な立場がHOT患者への支援についての認識を新たにしたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は前年度に組織した在宅療養支援検討会を継続し、新たに、下部組織に外来サロン・指導コーナーワーキンググループを組織し、HOT患者のための外来サロンを立ち上げて、サロン活動の中で、ピアサポートが得られるよう、また、療養指導が受けられるよう環境作りをし、HOT患者が在宅において自己管理ができるような支援体制を整える。組織作りと運営は平成23年度と同様であるが、ワーキンググループにおいては、HOT患者の意見が反映されるようHOT患者をメンバーに加えたグループ作りを行う。 HOT患者サロンの開催はワーキンググループを中心に毎月定例で1時間程度行う。その参加者の招集は外来患者、訪問看護を受けている患者、地域にいる患者にチラシ等を配布し、広く呼びかけM島基幹病院の一室で行う。サロン活動の主な企画は、ワーキンググループで検討するが、参加者から毎回参加後アンケートをとり、希望するものを次回以降の開催の参考にする。主な内容は、患者同士の交流(リフレクション)、情報交換、および医師、看護師、薬剤師、栄養士などの専門職によるミニ講義と看護師による療養相談等である。また、前年度作成した指導マニュアル、パンフレットの活用、HOT患者が症状の自己管理状況を把握するための呼吸管理日記の活用等も話し合って取り入れる。HOT患者のニーズに応じて、講師招聘による講演会を行う。それらの活動後は、HOT患者・家族、プログラムに参加したサロンメンバー、療養指導を行った看護師等に活動や参加を通しての評価を調査し、外来看護におけるHOT患者の療養支援体制のシステムづくりを検討する。 年度末にはHOT患者の地域活動参加の支援体制の基礎をつくるため、在宅療養支援検討会、専門職、患者家族および地域ボランティアによるサポートグループをたちあげ、他県のHOT患者会を視察する等の情報収集を行い、支援の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1在宅療養支援検討会、外来サロン・指導コーナーワーキンググループ会議ならびに外来サロンの開催に関する旅費910,000円(研究代表者が沖縄から東京へと勤務先が変更したことに伴い宮古島への出張旅費は、東京からと、沖縄本島からの出張となる。出張を行わない場合はICTから参加する。検討会と外来サロンは月1回の定例で行う。)、会議時の昼食代75,600円、会議時の飲み物代12,000円計87,600円、ICTのためのインターネット回線料金49,500円、出張時の自動車レンタル料金28,000円、チラシ、パンフレット等印刷代25,570円2.講演会開催に関する旅費(沖縄県内からの講師招聘による講演会と沖縄県外からの講師招聘による旅費)として120,000円、講師謝金として50,000円3.他県在宅酸素療法患者会への視察の旅費として320,000円4.活動評価、調査に関する事項としてQOL尺度SF-36指標使用料60,000円、アンケートの統計処理ソフト 50,000円、図書、文具等消耗品60,608円5.研究成果発表の旅費160,000円、学会誌投稿料20,000円。以上、平成24年度の支出計画は合計1,941,278円である。
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Research Products
(1 results)