2011 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中患者の家族に対する早期在宅移行に向けた看護支援に関する研究
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23593256
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
林 みよ子 北里大学, 看護学部, 准教授 (50362380)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 介護準備状態 / 脳卒中患者 / 在宅移行期 / 家族介護者 / 早期介入 / 実態調査 |
Research Abstract |
本研究は、脳卒中患者の家族介護者の介護準備状態の短期的・長期的影響を明らかにし、在宅移行に向けた早期看護支援の検討を目的とするものである。平成23年度は、在宅移行前の介護準備状態の実態と介護準備の影響要因を明らかにするための全国調査を計画した。調査開始にあたって複数施設に打診したところ、震災の影響もあり協力は困難との意見があり、調査は状況が安定したと判断された頃に実施した。調査は、デモグラフィックデータと、既存の5尺度(日本語版介護準備状態尺度、家族機能測定尺度、ソーシャルサポート尺度日本語短縮版、健康状態調査票日本語版12項目、介護者対処方略スケール)で構成する質問紙を用いた。対象者は、回復期リハビリテーション病棟保有施設一覧掲載施設を、「北海道」、「東北・甲信越」、「関東・東海」、「近畿・中国・四国」、「九州・沖縄」に5区分し、各地区から30施設をランダムに抽出して依頼し、協力回答のあった施設から条件に合致する対象者を選択いただいた。質問紙は、協力施設の該当病棟の協力者から対象者に配付いただいた。平成24年3月末現在、23施設から協力が得られ、約300名に質問紙を配付、約50名から回収された。回収数が少ないことから共分散構造分析は実施できず、記述統計量と要因間の相関係数の算出を行った結果、介護準備状態が比較的高く、ソーシャルサポートや介護力の評価もの高さが関係していた。これは、対象者が回復期リハビリテーション病院入院中の患者家族であるために、もともと在宅を目指していることが準備状態が整っていると評価されていると推測された。しかし、先行研究の結果から、高い介護準備評価や介護力およびソーシャルサポートの評価が、実際の介護生活開始後に大きく変化する可能性があると考えられ、入院中の介護準備状態評価がその後どのような影響を与えるのかを明らかにしていく必要性が再確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概ね1年目の研究計画に従った調査を実施したが、データ収集途中に留まり、成果報告に至らなかったという点において、やや遅れていると評価する。理由は、震災の影響もさることながら、23年4月から8月にかけて、計画立案時に予想できなかった業務が発生し、予想エフォートを越えたことが挙げられる。本研究は、脳卒中患者の家族介護者を対象としていることから、対象者条件に合致する者が必ずしも依頼時期に存在するとは限らないという不確定要素が存在する特徴があることから、早い調査開始が望ましかった。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度は、震災の影響に加え4月から8月にかけて計画立案時に予想できなかった業務が発生し、本研究のエフォートが増加し研究開始が遅れた。次年度はまず、現在回収中の質問紙票の分析を実施する。そして、次年度から2年間、在宅移行前後の家族介護者や家族に与える影響を明らかにするための質的な縦断的調査を行う。脳卒中患者の家族介護者とその家族の在宅移行前から移行後1年にわたる長期的な体験を捉えようとするものである。平成24年7月頃から、急性期病院や回復期リハビリテーション病院に調査協力を求め、参加者となり得る方を紹介いただけるように取りかかる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、面接調査であることから、データ収集に伴う交通費、調査協力施設および調査対象者への謝礼、データの逐語化および分析のスーパーバイズ、文献の取寄せやコピー代が主たる用途である。また、23年度からの繰越金は、継続データ収集のための質問紙郵送費やデータ整理のための人件費に使用する計画である。
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