2012 Fiscal Year Research-status Report
自己決定理論に基づく患者の自律性を支援するための多職種教育プログラムの開発
Project/Area Number |
23593267
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
山本 佳代子 東京工科大学, 医療保健学部, 助教 (40550497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥宮 暁子 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (20152431)
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Keywords | 透析 / 自己決定理論 / 自律的動機づけ / セルフマネジメント |
Research Abstract |
【第1段階】 透析患者の自己管理の動機づけに関する質問紙を、H24年度では4施設に追加配布し、計9施設の患者145名に配布し、最終的に337名に配布260名から回収(77.2%)した。その結果、年齢と透析歴を制御した各概念同士の偏相関では、自律的動機づけと有能感が有意に正相関(r=0.49)し、有能感は自己管理行動と有意に負相関(r=-0.24)していた。自律的動機づけへの影響要因特定のため、重回帰分析をした結果では、導入年齢が高く、社会活動が障害の無いこと、肯定評価的なコーピングスタイルが「自律的な動機づけ」の要因となっていた。また、GHQへの有効回答者198名中、92名(46.5%)がうつ傾向で、15年以上の患者群では、割合が増加していた。長期透析患者には、新たなストレス要因が働く可能性が考えられ、透析患者でのうつ傾向対策の重要性が示唆された。さらに動機づけの変化プロセスを知るために10名の患者対象に質的分析も追加して行い、4段階の変化の構造を確認した。 【第2段階】 自律性支援に関する意識調査では、11施設の看護師246名に配布し、195名から回収(79.3%)した。患者の自律性を尊重する思考の傾向の有無では、「患者の生活と自律性を尊重する患者観」の項目へ80%以上が当てはまると回答しており、透析患者の生活や自律性を尊重する患者観を持っていた。透析患者の自己管理支援26項目についての設問へは、患者が自律的に学ぶため項目は得点が低く、重要視されていなかった。さらに同じ実施状況への回答は、患者の自律性を尊重する項目の実践度が低かった。主体的就業動機を持って勤務している看護師では、自律性を尊重した支援の項目の実践度が高かった。看護師は、透析に従事していく中で患者観の変化や就業動機の主体化が起こり、透析看護のやりがいを増し、各種支援の実践が増していくことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1段階についてはデータ収集を終了し、第2段階のスタッフ対象調査の1回目を終了することができている。スタッフへの教育プログラムに関しては調整中で、今年度前半期に実施予定である。よってほぼ計画に沿って実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
第2段階の教育プログラムの作成と実施、評価のためのアンケート調査を行い、全体の分析考察を行う。教育プログラムの作成は、研究分担者とともに行い、随時、透析施設の看護責任者や認定看護師などの助言を受けながら実施する。研究としての教育プログラムの実施は2施設で許可を得ており、実施後にアンケート調査を実施してプログラムの評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度、研究分担者の転勤により会議に必要な交通費が予定を下回ったこと、都合により、学会参加が少なかったことから繰り越しが生じた。その分は、次年度に学会発表を行い、その参加費・交通費で使用予定である。 次年度の予定された研究費の主な使用計画として、①教育プログラム実施のための交通費・評価アンケート作成費②研究発表のための学会参加費・交通費③研究成果報告のための報告書の印刷代・送料④その他事務用品等で使用することを予定している。
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Research Products
(3 results)