2011 Fiscal Year Research-status Report
慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラムの検討
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23593269
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
本庄 恵子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (70318872)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 慢性病 / セルフケア能力 / 看護 |
Research Abstract |
平成23年度は、「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム案」の作成と、支援プログラム展開のための準備を行った。1.慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム案の作成 国内外の慢性病をもつ人の特性やセルフケア能力に関する文献、看護支援プログラムに関する文献などについての文献検討を実施した。その上で、SCAQの活用を含めた「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム案」を作成した。「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム案」の検討と洗練を行うために、看護師および慢性病をもつ人に対する面接調査を実施した。看護師に対する面接調査に同意が得られたのは4施設であり、患者に対する面接調査に同意が得られたのは2施設であった。看護師には、参加者の希望に応じてグループインタビューもしくは個別インタビューを実施している。患者には個別インタビューを実施している。本研究は、日本赤十字看護大学研究倫理審査委員会の承認(2011-80)を受けてから、実施した。2.看護支援プログラム展開の準備 「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム」に興味があるということで、著者への講義依頼の希望があった3施設において、セルフケア能力を高める支援やSCAQに関する講演を行い、3年間の本研究プログラムの基盤となる仲間作りを行った。また、看護師への個別サポートの希望があった1施設に関しては、複数回施設に出向いて、「セルフケア能力を高める支援」に関する看護師の相談に個別に応じた。また、日本看護技術学会学集会のキーセッションにおいて、「セルフケア能力を高める看護支援」に関する講演を行い、また、著者が所属する大学においてセルフケア研究会を定期的に開催しセルフケア支援に関する議論をするなかで、看護支援プログラム展開のための準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展していると評価した理由は、平成23年度に予定していた「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム案」の作成と、支援プログラム展開のための準備を順調に進めることができたと考えたからである。1.慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム案の作成 予定通り、「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム案」を作成し、その妥当性を検討するための面接調査を看護師および慢性病者を対象として実施している。面接日時は、参加者の希望に応じて調整しているため、一部の参加者の面接は平成24年度に実施することとなった。順次得られたデータより、分析を進めているところであり、概ね順調に進展していると評価した。2.看護支援プログラム展開の準備 学術集会や研究会や著書などを通じて、著者の研究的とりくみについて紹介するとともに、希望する施設や看護師に対して、「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援」に関する講演や個別サポートを実施した。平成23年度には3施設での講演やサポートを行った。また、著者の所属する大学で開催した「セルフケア能力を高めるケア研究会」には、さまざまな施設の看護師や看護研究者の参加があり、ディスカッションを通して、セルフケア能力を高める看護支援についての知見を深めることができた。「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援」に興味のある看護師との交流を行う中で、支援プログラムの展開に向けて、順調に準備を行うことができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、研究を推進する予定である。まずはじめに、平成23年度から実施している面接調査を進めて結果を分析し「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム案」の妥当性を確認し、洗練する。そして、平成24年度から25年度にかけて、SCAQを活用した「慢性病をもつセルフケア能力を高める看護支援プログラム」の効果を明らかにするための調査を実施する。調査は、研究について説明し同意が得られた者のみを対象とするなどの倫理的配慮をして行うこととし、日本赤十字看護大学研究倫理審査委員会からの承認を受けてから、実施する。 1.調査の概要:平成23年度より関係を作ってきた施設を中心に、調査協力への同意が得られた看護師およびその受け持ち患者(慢性病をもつ人)100例程度を対象とする。「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム」に沿って看護支援を展開してもらい、同意が得られた人に質問紙調査と面接調査を実施し、看護支援プログラムの効果を検討する。 1)質問紙調査:セルフケア能力を高める看護支援プログラムでは、慢性病をもつ人にSCAQに回答してもらいプログラム前後でSCAQがどのように変化するかを経時的に追う。有意差を検討し、プログラムを評価する。また、質問紙には看護支援内容を自由記載できる欄を設け、看護師に支援の具体的内容を記入してもらいその内容を質的に分析する。 2)面接調査:「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム」に参加した看護師、および、患者の中から、それぞれ、同意が得られた人を対象として面接調査を実施する。個別に個室でインタビューを実施し、インタビューガイドを使用して、印象に残っていること等を語ってもらう。内容を質的に分析し、看護支援プログラムを評価する。 以上の調査結果は、順次、結果を分析してまとめ、国内外の学会で公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通り、研究費を使用する予定である。 平成23年度に実施した面接調査結果に基づいて洗練した、SCAQを活用した「慢性病をもつ人のセルフケア能力を高める看護支援プログラム」の効果を明らかにするための調査を、平成24年度から25年度にかけて、実施する。この調査は質問紙調査および面接調査を含むものである。効率的に調査を実施するために、質問紙の印刷準備やテープ起こしはアルバイトを活用することとし、アルバイト謝金の予算を使用する。国内旅費の一部は、質問紙調査や面接調査の実施にあたって必要とされる旅費として使用する。さらに、物品費は、面接調査や質問紙調査に必要な消耗品や、研究成果をまとめるときに必要な関連書籍の購入などに使用する。 また、研究成果は国内外の関連学会で発表する予定である。国内旅費の一部は、国内学会での研究成果の発表のために使用する。また、国際学会での発表に際して、抄録原稿・発表原稿のネイティブチェック・翻訳料を使用する。国際学会での研究成果発表にあたり、海外旅費を使用する予定であるが、調査の進行状況に加えて、抄録〆切の時期や学術集会開催時期によって、平成24年度の国際学会での発表とするか平成25年度に開催される国際学会での発表とするかを検討していきたいと考える。
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