2012 Fiscal Year Research-status Report
発達障害の子どもと家族のための看護支援ガイドラインの開発とその検証に関する研究
Project/Area Number |
23593280
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩飽 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50250808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸子 山形大学, 医学部, 教授 (30299789)
富澤 弥生 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (60333910)
鈴木 祐子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40431598)
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Keywords | 軽度発達障害 / 子ども / 家族 / 就学支援 / 学習ニーズ |
Research Abstract |
軽度発達障害の子をもつ母親の質問紙およびインタビュー調査を,山形,仙台,名古屋で継続して実施した。結果は前年度の6名と合わせて分析作業中である。 平成24年度は新たに2つの調査を企画し,倫理委員会の承認を得て実施した。 (1)障害の発見から就学までの支援に関わっている医療,保健,福祉,教育の各関係者の障害の発見,発達支援,就学支援に対する役割の現状と課題を明確化することと,発見から就学までの一貫性を考慮した発達支援,関係者の連携のありかたを検討することを目的に,東北,中部,九州地方の4地域で12職種合計62名にインタビュー調査を実施した。【成果】子どもや保護者に関わっている関係者には,情報交換,ケース検討を通した連携や,障害や支援に関する正確な知識や技術を高めたいニーズがあることが分かった。また保健師には,障害発見と以後の支援全般と関係者のコーディネート,保護者支援の役割が求められていた。 (2)小児看護に携わる看護師を対象にして,障害の理解度や必要としている情報などを明らかにすることを目的とした質問紙調査を実施した。調査は医療機関18施設で行い,266の回答を得て分析を行った。【成果】30歳以下では,学生時代の講義で学んだ知識があるため,障害について知っていると回答する者の割合が多く,また臨床経験年数が4年以上になると,実際に子どもと関わる経験の中で,体験的に理解が増したと考えられた。31-40歳の理解度は低く学習の機会が少なく,そのため経験からの理解も十分ではないのではないかと考えられた。特に「感覚異常がある」,「学習への影響」や「二次的障害」の理解度が低かった。全体の8割以上の者が「関わりが難しい子ども」の対応経験があるにもかかわらず,半数近くが障害についてよく理解できておらず「学習したい」と答えた者は92.6%と高率であり,学習ニーズが高いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害を持つ子どもの母親の困難さや支援のニーズについては調査が終わり,分析中だが概要は把握できた。また,発達障害を持つ子どもの就学支援に実際にかかわっている専門職者の聞き取り調査と分析が終わり,これらについての課題と支援ニーズは当初の計画通り概ね把握することができた。 研究過程で発達障害の子どもが児童養護施設に多く収容されており,福祉職員と看護師が対応に苦慮している状況が分かったため,新たな調査を追加することにしたが,これは研究成果に基づいた副次的,発展的研究計画の変更である。追加調査については倫理委員会の承認を得ており,実施準備中である。 次年度はこれまでの研究成果をふまえて予定通りガイドラインの試案を作成するので,全体的な研究計画はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は情報収集,ガイドラインの考案を行う。 1.追加した障害を持つ子どもの母親のインタビュー結果を加えて支援ニーズの集約と分析を行う。2.前年度に行った看護者の調査に基づいて,看護実務者教育に必要な要素を抽出,提供すべき情報の質と量を分析する。3.実施した地域の実務者のインタビュー調査に基づき,早期発見から就学までの支援フローチャート案を作成する。4.児童養護施設に入所している発達障害の子どもを支援している看護職者の実態について質問紙調査を実施する。5.研究代表者が研究分担者と連携研究者を招集してガイドライン検討会議を開催し,上記および先行研究の成果をふまえて,ガイドライン1次案を作成する。さらに,発達障害の専門医に依頼して医学的視点からの補完も行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は,今年度研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成25年度請求額と合わせ,平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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