2014 Fiscal Year Research-status Report
発達障害の子どもと家族のための看護支援ガイドラインの開発とその検証に関する研究
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23593280
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩飽 仁 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50250808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幸子 山形大学, 医学部, 教授 (30299789)
富澤 弥生 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (60333910)
鈴木 祐子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40431598)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 発達障害 / 子供 / 家族 / 就学支援 / 看護職支援 / 学習ニーズ / 情報提供 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害をもつ子供の母親を対象に質問紙調査と半構造化面接による調査を実施し,質的記述的に分析した。 【母親の役に立った内容】『有用な情報/助言が得られること』では<基本的な情報が得られること><療育に関する具体的な情報/助言が得られること>など子供の特徴理解,療育上必要な情報や助言が挙げられた。<学校との連携に関する具体的な情報/助言が得られること><身近な情報が得られること>など生活上必要な具体的内容,<自分に当てはまる具体的な情報が得られること>が挙がった。<他者の体験に基づく情報/助言が得られること>では同じ経験をもつ母親が情報源であり,ピアサポートが有用だった。『子供の特徴を理解し適切な対応をしてくれること』は家族・親戚の理解,学校の対応が役に立っていた。『次の支援につながること』では保育園や学校が主にその役割を担っていた。同じ経験をもつ母親,学校教諭,保育士,幼稚園教諭,病院などからの情報が有用だが,ネットや本からは個々のニーズに合った内容が必ずしも得られていなかった。 【母親の支えになった内容】『母親が言いたいことを言えること』『母親が考えや気持ちを受け止めてもらえること』が抽出され,気持ちや考えを表出できる場が存在することが支えとなり,それは多岐にわたっていた。『母親に支持的に関わってもらえること』は<母親の判断/行動を支持してくれること><母親に協力してくれること>で構成されており,母親が孤立したり孤独を感じないような周囲,とくに身近な家族や親戚の存在が重要であった。『母親が信用できること』では,発達障害についての正しい情報提供や助言する存在が重要であった。<母親が子供のよい行動/変化に気づくこと>や<母親が先の楽しみ/希望をもてること>により『母親自身が子供のことを肯定的にとらえられること』,『母親の気持ちを奮い立たせる何かがあること』が支えになっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発達障害を持つ子どもの就学支援における関連職種の連携の重要性と,連携モデルのガイドラインと,そのなかでの看護職の役割はすでに明らかにできている。 また母親の育児に関する困難さや支援のニーズについてはおおむね分析が終わり,有用な情報と役立たない情報を分別することができており,情報の内容と情報提供を行う場(メディア)のクロス分析も現在行っており,正確な情報を適切なルートで提供するという支援についての母親向け・医療者向けの支援ガイドも策定中である。 さらに,種々の疾患を持ち病棟や外来で療養する発達障害の子供をケアする看護職者の知識やスキル,必要な研修内容も把握することができており,看護職向けの知識提供,対応に関するガイドラインも検討に入っている。 このようにガイドラインの普及と活用を展開するための準備を進めることができており,全体的な研究計画はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はガイドラインのプロトタイプを完成させ,研修会を試験的に開催し,成果をweb等で公開するなどし,発達障害に関する正確な情報の社会還元を行う予定である。 1.障害を持つ子どもの母親のインタビュー結果のうち母親と子供にとってネガティブな情報や支援について追加分析を行って,母親にとって有用な情報の内容と情報源(情報入手ルート)を確定する。2.これまでの研究成果と他の情報を集約して,①保健師・幼稚園教諭・保育士・学校教諭・福祉職等向けの,発達障害の理解,早期発見から就学までの連携・支援に関するガイドライン,②母親向けの知識と対応方法に関する情報提供のガイドライン,③看護師向けに,発達障害の知識提供,良い対応例,困難な対応場面での対応方法のガイドラインをまとめる。3.発達障害の理解と支援を充実させるために医療機関に勤務する看護師への研修会を開催して,ガイドラインの実効性,研修効果を確認し,ガイドラインに対する意見を集約する。4.可能であれば学校の養護教諭,児童福祉施設の職員に対しても前項同様の研修会を企画する。5.ガイドラインの改定修正と公開・普及を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は,発達障害を持つ子供の母親の追加調査,看護師の追加調査,および看護師向けの研修会準備を計画していたが,追加調査は不要であったこと,研修会準備を最終年度に行うことにしたこと,研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,平成27年度請求額と合わせ,ガイドラインのプロトタイプ作成(印刷費用等)および看護師向けの試験的研修会開催,実効性調査・分析費用等,平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)