2011 Fiscal Year Research-status Report
口唇口蓋裂をもつ児の乳児期における育児支援プログラムの評価に関する縦断的研究
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23593284
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岡光 基子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (20285448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 たい子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (10156713)
寺本 妙子 日本橋学館大学, リベラルアーツ学部人間心理学科, 講師 (20422488)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 母子相互作用 / 口唇口蓋裂 / 乳児 / 授乳 / 発達 |
Research Abstract |
口唇口蓋裂をもつ乳児と母親について、国内では哺乳の支援に関する実践報告が多くみられるが、母子相互作用に焦点を当てた研究はきわめて少ない。授乳における問題が母子相互作用を阻害する可能性があることから、親子関係形成のための支援が求められる。口唇口蓋裂をもつ児と母親について、授乳場面における母子相互作用の特徴を明らかにし、児の発達などの要因との関連を縦断的に検討することで、母子相互作用に焦点を当てた支援について基礎資料を得ることを目的とした。 東京都内の大学病院口腔外科外来・病棟にて選定し、口唇口蓋裂をもつ月齢2~4か月の乳児とその母親28組を対象とした。対象母子の属性,母子相互作用(日本語版NCAFS(Nursing Child Assessment Feeding Scale)),児の発達(遠城寺式・乳幼児分析的発達検査),母親の育児ストレス(日本版Parenting Stress Index(PSI)),抑うつ(CES-Dうつ病自己評価尺度)ソーシャルサポートに関する質問紙などについてアセスメントした。 研究参加への同意が得られた対象母子に対して、外来受診時に授乳場面の観察と質問紙調査を実施した。時期は、Time1(月齢2~4か月)、Time2(月齢5~7か月)、Time3(月齢8~10か月)、Time4(月齢12か月)の計4回実施した。Time4では質問紙調査のみ実施した。 口唇口蓋裂をもつ児の母子相互作用は健常児と同質であることが明らかとなった。このことは、児自身が発達に伴い伸びる力を持っていたことを示唆していた。母親は養育上のストレスを持っており、早期からの母子相互作用のアセスメントが役立つものであることが示唆された。また、児の発達が母子相互作用に関連することが明らかとなった。早期より母子相互作用を促進することが、児の発達を促すために重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度実施計画について、初回および2回目の介入前のベースラインアセスメントのみならず、4回目までのデータ収集をすでに終えており、概ね達成できていると評価できる。ただし、研究目的の介入研究後のプログラム評価という点においては、実施が遅れていることが課題となっている。その理由としては、口唇口蓋裂をもつ乳児と母親について、国内では母子相互作用に焦点を当てた研究はきわめて少ないことから、具体的な介入方法が明らかにされていない。まずは、育児支援プログラムの開発のための有効な具体的方法を検討することが必要とされる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、2~3歳までのフォローアップ研究を視野に入れ、研究計画を練り直している。研究フィールドについてはすでに研究を継続して行うことのできる環境が整っている。臨床スタッフとの調整を行い、倫理審査委員会への書類提出後、承認が得られれば、研究を遂行していく。主に、口唇口蓋裂をもつ児が2~3歳になったとき、児の発達や行動についてどのような特徴がみられるのかを明らかにし、母子相互作用との関連について縦断的検討を行う。将来的に介入研究のための準備として位置づけられる。得られた結果より、口唇口蓋裂をもつ児の乳児期におけるより効果的な育児支援を考えていく上での一資料として役立てたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
質問紙尺度を用いた調査を実施するため、主な必要経費として、備品費では、分析・記録を行うための統計解析ソフトとパソコンなどの環境整備である。消耗品費ではアセスメント尺度および用具、質問紙尺度や書籍の購入を予定している。研究参加者への謝礼については、文具を購入予定である。質問紙の後日回収のための通信費も必要である。謝金はデータ入力・整理などの研究補助の雇用を予定している。また、分析方法について、専門的知識の提供に対する謝金も予定している。国内旅費は研究打ち合わせの他、学会発表など成果報告のためにも使用される。他には海外成果報告のための海外旅費を使用予定である。報告にはポスター発表などの印刷費も必要である。本研究を遂行するためいずれも必要な経費である。
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Research Products
(5 results)