2012 Fiscal Year Research-status Report
口唇口蓋裂をもつ児の乳児期における育児支援プログラムの評価に関する縦断的研究
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23593284
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岡光 基子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (20285448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 たい子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (10156713)
寺本 妙子 日本橋学館大学, リベラルアーツ学部人間心理学科, 講師 (20422488)
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Keywords | 母子相互作用 / 口唇口蓋裂 / 乳児 / ソーシャルサポート / 授乳 |
Research Abstract |
口唇口蓋裂をもつ乳児の母親は出生直後より自責の念を抱え、児の障がいを受容する過程において孤立する傾向がある。口唇口蓋裂をもつ乳児とその母親について、母親のソーシャルサポートと食事(授乳)場面における母子相互作用との関連を縦断的に明らかにし、母子相互作用に焦点を当てた看護支援について基礎資料を得ることを目的とした。 対象は、東京都内の大学病院口腔外科外来・病棟にて選定した。口唇口蓋裂もしくは口蓋裂、唇顎裂をもつ2~4か月齢の乳児とその母親30組。外来受診時に母子の食事(授乳)場面の観察と質問紙調査を実施した。時期は、Time1(月齢2~4か月時)、Time2(月齢5~7か月時)、Time3(月齢8~10か月時)、Time4(月齢11~12か月時)の計4回実施した。Time4は質問紙調査のみ実施した。 母親のソーシャルサポート得点の平均は、Time1で 97.17±12.29、Time2は97.80±13.11、Time3で95.47±11.52であった。Time1における「夫のサポート」、「医療従事者のサポート」と「子どもの不快な状態に対する反応」との間に有意な正の相関が認められた。このことから、母子相互作用の促進のために乳児期早期から、母親自身がサポートを得られているという認識を持てるような支援の必要性が示唆された。口唇裂をもつ児の母親で、口蓋裂のみをもつ児の母親より、ソーシャルサポートの得点が有意に低くなることが明らかとなった。また、きょうだいがいる場合にサポートが得られにくいことが明らかとなった。乳児期から家族が主体となって交流を図れるような場の設定やきょうだいの育児など個々の家族の状況に配慮した支援が求められる。また、必要に応じて地域につなげるなど他職種との連携を図りながら、親子の関係性に着目した支援を行うことが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、4回目までのデータ収集後、今年度はソーシャルサポートと母子相互作用に着目した分析を行った。その成果は、国際学会で発表した。介入研究の遂行については、すでに実施計画の変更をしており、口唇口蓋裂をもつ児の母親について、まずは、育児支援プログラムの開発のためのより具体的な介入方法を検討することが必要とされる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、2~3歳までの口唇口蓋裂をもつ幼児とその母親を対象とした研究を行う予定である。幼児期の発達や行動の特徴を明らかにし、母子相互作用との関連について縦断的検討を行う。また、研究者は介入研究のための準備として、英国にて介入に必要な乳幼児精神保健に基づいた技法を習得することを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
質問紙尺度を用いた調査を実施するため、主な必要経費として、備品費では、分析・記録を行うための統計解析ソフトとパソコンなどの環境整備である。消耗品費ではアセスメント尺度および用具、質問紙尺度や書籍の購入を予定している。研究参加者への謝礼については、文具を購入予定である。質問紙の後日回収のための通信費も必要である。謝金はデータ入力・整理などの研究補助の雇用を予定している。また、分析方法について、専門的知識の提供に対する謝金も予定している。国内旅費は研究打ち合わせの他、学会発表など成果報告のためにも使用される。研究準備に伴う出張や海外成果報告のための海外旅費を使用予定である。報告にはポスター発表などの印刷費も必要である。本研究を遂行するためいずれも必要な経費である。
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