2011 Fiscal Year Research-status Report
本邦における小児褥瘡の発症現況と病態の解明、および褥瘡予防寝具の開発
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23593288
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
高野 邦夫 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (80125773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 眞里子 山梨大学, 医学工学総合研究部, 教授 (60289915)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 褥瘡 / 小児 / 寝具 |
Research Abstract |
本研究課題の一つである、本邦での小児の褥瘡発生状況に関しては、小児ストーマ・排泄管理研究会の世話人施設など事前に調査協力の意思表示した施設、心身障害児(者)施設に対し、当委員会が作成した調査用紙を用い、郵送による回答を得た。その結果から小児褥瘡発生の病態分析を進めている。小児の発達段階別にみた褥瘡発生の部位は、乳幼児期には頭部にかかる体重の比率が大きいことにより、後頭部や側頭部、耳介、鼻部に多く発生し、体幹に体重の比率賀多くかかるが学童期以降では、仙骨部に褥瘡発生の部位が移行することが示された。新生時期では耳介よりも鼻部が多く、早期にN-DPAPに変更する呼吸管理が一般化されてきたことが背景と考える。乳児期では頭側以外にも踵部、仙骨部、背部も多い。これは体幹を動かせない病状や抑制を要する状況と、点滴ラインの為のシーネ固定などによる影響が考えられる。幼児期以降は歩行でき活動性が拡大する時期だが、体幹や下肢に褥瘡発生を認めるのは、成人同様に臥床安静の状況が関与していると考えられるが、さらに解析を進め、小児の褥瘡の病態を明らかにしていく。研究課題の他の一つとして、小児褥瘡予防寝具の開発は、未熟児から成熟児でのモデルを用いて、いくつかの寝具素材から、より児の圧が分散し得るマットレスを開発し、さらに臨床研究を行いながら、小児褥瘡予防の最適な寝具開発するため研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目的とした研究は、予定どおりに進み、本邦の小児褥瘡発生状況が明らかになってきたとともに、その病態解析も進んでいる。その結果をもとに、小児褥瘡を予防しうるマットレス、シーツなどの寝具の材料選定とその評価実験を行い、より最適な小児褥瘡予防の寝具の開発のために、研究を推進している。我々の研究成果を国内外に発表する機会を得ることができ、研究の目的達成のため、最善を尽くし、その結果に満足している。今後も研究目的を超える成果を得るため、力を注いで、研究を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本邦の小児褥瘡発生のメカニズムを解明し、褥瘡を予防し得る治療法を確立する。また、小児褥瘡予防寝具の開発を進め、臨床研究にその有用を評価する。さらに、その寝具を商品化することにより、広く本邦で使用し得る寝具として、小児褥瘡予防治療を広めていく。また、海外においても我々の研究を、発表するとともに、我々が開発し得た寝具を紹介し、販売していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
小児、特に新生児や低体重児の褥瘡予防の寝具の開発を進める目的で、臨床研究として、本邦での小児、新生児さらには重症心身障害児での褥瘡発生の現況の詳細を明らかにして、褥瘡発生のメカニズムの解析を進める。その研究結果より病態に即した寝具の開発を進める。開発しえた寝具の臨床評価を推進して、広く多くの施設で使用できるよう、商品化を推進する。研究費としてアンケート調査を含めた臨床研究の費用と、解析器具の追加、さらに消耗品にあてる。また、研究発表の際の旅費にも用いていきたい。
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