2011 Fiscal Year Research-status Report
高次脳機能障害者の家族のFamily Hardiness支援教育マニュアルの作成
Project/Area Number |
23593318
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
瓜生 浩子 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (00364133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野嶋 佐由美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (00172792)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 家族看護 / 高次脳機能障害 |
Research Abstract |
本研究の目的は、脳外傷性高次脳機能障害者と共に生きる家族が、高次脳機能障害に伴う困難に直面しながら、当事者との相互作用および社会との相互作用の中で、どのような体験をしているのかを、Family Hardinessの視点から明らかにし、それを基にした家族への教育マニュアルを作成することである。平成23年度は、家族教育マニュアルに取り上げる領域を特定化するために、脳外傷性高次脳機能障害者と共に生きる家族は、在宅生活の中でどのような困難に直面しているのかを明らかにするという目標に取り組んだ。まず、脳外傷性高次脳機能障害者と共に生活している家族の体験の特徴を文献から抽出し、インタビューガイドを作成した。そして、脳外傷性高次脳機能障害者と家族が所属する当事者団体から紹介を受け、脳外傷性高次脳機能障害者と共に生活している家族、18家族に半構成的面接調査を実施した。現在は、録音した面接内容を逐語的に記述し、家族が在宅生活における当事者との相互作用および社会との相互作用の中で困難を感じていた体験を抽出している段階である。家族が直面する困難として、現段階では、異変を感じながらも診断がつかず原因がわからない、どこに相談してよいかわからない、普通でない当事者の言動への対応方法がわからないなど、障害が理解できず対応方法がわからない困難が抽出され、感情コントロールができず暴力を振るう、何度説明してもすぐに忘れる、場や相手の状況に合わせた言動がとれない、計画的な行動ができない、お金の管理ができない、障害を認めようとしないといった症状への対応に困っていること、これらの症状により周囲の人との関係性や金銭上のトラブルを経験している家族が多いことが明らかになった。また、就学や就職、居場所の確保、家族を含めた周囲の人の障害理解、家族内の関係性の調整に関する困難や、将来的な当事者の生活への不安なども感じていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では、平成23年度の目標として、脳外傷性高次脳機能障害者と共に生きる家族は、在宅生活の中でどのような困難に直面しているのかを明らかにすること、平成24年度の目標として、脳外傷性高次脳機能障害者と共に生きる家族は、どのようにしてFamily Hardinessを生み出し、強化しているのかを明らかにすることを挙げていた。平成23年度は、予定していたデータ収集は終了したものの、分析にかなりの時間の要していることから、現在は3分の1程度の分析が終了したところで、家族が困難を感じていた体験から家族教育マニュアルに取り上げる領域を特定するまでには至っていない。しかしながら、データ収集では、家族が困難を感じていた体験だけでなく、その家族が困難に立ち向かいながらFamily Hardinessを生み出し強化していく過程についても語られており、平成23年度の目標と並行して、平成24年度の目標にも取り組んでいるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に実施した面接調査において、平成24年度の目標である、家族が当事者との相互作用および社会との相互作用の中でFamily Hardinessを生み出し強化していくプロセスに関するデータも収集することができたこと、また各ケースの分析にかなりの時間を要することから、平成24年度の前半は平成23年度に収集したデータの分析に継続して取り組む。そして、家族教育マニュアルに取り上げる領域の特定化と、Family Hardinessの特質およびその強化方法の抽出を並行して進めていく。分析を進めていく上でデータの不足が認められた場合には、平成23年度に実施した面接調査の対象者に再度面接を実施するか、新たな対象者を探し、データを補っていくこととする。平成24年度末の段階で、平成23年度と平成24年度の目標に到達できることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費は、主に研究を遂行する上での消耗品に使用する。旅費は、新たにデータ収集を行う際の交通費・宿泊費、関連領域に関する新たな知見を得るための学会等の参加にかかる交通費・宿泊費に使用する。人件費・謝金は、データ収集にかかる謝金および資料の整理等のアルバイト代に使用する。その他の経費は、主にデータ収集後のテープ起こし(逐語録の作成)にかかる費用に使用する。
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