2011 Fiscal Year Research-status Report
帝王切開分娩を経験した女性のための出産選択への支援:看護職者による決定援助の評価
Project/Area Number |
23593320
|
Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
鳥越 郁代 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (30217591)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 静 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (30453236)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
Keywords | 国際研究者交流(アメリカ) |
Research Abstract |
本研究の目的は、帝王切開分娩を経験した女性が、次子の出産選択における意思決定において、看護職者による決定援助を提供し、その介入効果について評価することである。平成23年度の計画は、1). 決定援助の必要性について理解を深めてもらうための看護職者を対象としたセミナー開催、2). 看護職者による決定援助のための支援ガイド作成および決定援助介入のためのプロトコールの見直し・検討であった。 1)については、平成24年3月に看護職者のための帝王切開後の出産選択について考えるセミナーを開催した。セミナーでは、産科医師、意思決定支援の研究者、海外共同研究者3名の講師の講演、そして研究者自身も講師として講演を行い、その後現場で問題を抱える74名の参加者とともに討論を行った。終了後のアンケートから、帝王切開後の分娩方法選択についての理解が深まり、看護職者による意思決定支援の必要性について認識できたとの感想を得ることができた。今後参加者とコンタクトをとり、病院施設における意思決定支援状況についての情報を得ながら、研究協力の依頼をしたいと考える。 2)の看護職者による決定援助のための支援ガイドおよびプロトコール作成に向けて、平成23年度は、全国の産科を標榜する病院施設を対象として、帝王切開後の出産選択の現状および看護職者による意思決定支援の実態調査を実施した。その結果、全体的な傾向として、分娩方法選択に関する情報提供の内容は、帝王切開分娩に関する内容に偏っており、分娩方法選択の機会が提供されていないことが明らかになった。その傾向は、VBAC希望の女性を受け入れていない施設に多く認められた。また一部の看護職者は、施設との方針の中で、女性のVBACをしたいという思いを受け止められず、その対応に困っていることも確認された。、
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は、「帝王切開後の出産選択を考えるセミナー開催にあたっての広報、講師の日程調整、準備に時間を要したこと、また看護職者による意思決定支援についての実態調査を実施したことによって、看護職者のための意思決定支援ガイド作成および決定援助介入のためのプロトコールの見直し・検討については、着手できなかった。しかしセミナーの参加者から得られた貴重な意見や意思決定支援の実態調査から得られた結果を参考としながら、早急に決定援助の介入研究のためのプロトコールの見直し・検討を行い、研究協力施設との打ち合わせを行いたいと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度~平成25年度の計画は、看護職者による決定援助プログラムの実施としている。そのため、平成24年度前期(5~7月)に、本学の研究倫理委員会に研究計画書を提出し、承認を得て、研究協力施設に依頼を行う予定である。同時に看護職者による決定援助実施のためのプロトコールの見直し、検討を行い、研究協力施設との詳細な研究打ち合わせを進めていきたい。 研究協力施設での看護職者による決定援助の実施においては、常に、研究協力施設とのコンタクトをとりながら、意思決定を支援する上での対応上の問題等について確認していくことにする。また決定援助実施前に作成する予定であった意思決定支援ガイドについては、介入研究を実施しながら、看護職者のための支援ガイド作成を目指すことにする。 平成24年度は、看護職者による決定援助プログラムの実施に向けてプロトコールの見直し・検討を優先することとし、意思決定支援を行う上での重要事項については、プロトコールに記載することとする。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、病院施設への研究依頼および研究打ち合わせに伴う旅費、そして病院施設の研究協力者(看護職者)、研究参加者(母親)への謝金が必要となる。そのために必要経費として、研究費を使用する予定である。また決定援助のためのツールとして作成している小冊子については、決定援助の介入研究にあたり、最新のエビデンスを確認した上で、再度見直しを行う。内容修正の必要があれば、それに伴う印刷代として使用する予定である。 さらに平成24年度は、「帝王切開後の出産選択における意思決定支援の実態調査」を診療所(約1300施設)を対象として実施し(病院施設を対象とした調査は平成23年度に実施した)、全国の帝王切開後の出産選択の現状と看護職者による意思決定支援の現状について把握したいと考える。
|