2012 Fiscal Year Research-status Report
帝王切開分娩を経験した女性のための出産選択への支援:看護職者による決定援助の評価
Project/Area Number |
23593320
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
鳥越 郁代 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (30217591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 静 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (30453236)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究の目的は、帝王切開分娩を経験した女性が、次子の出産選択における意思決定において、看護職者による決定援助を提供し、その介入効果について評価することである。研究の2年目である平成24年度の計画は、研究協力者に対し、研究代表者の作成した決定援助プログラムへの参加を依頼し、看護職者による意思決定支援を実施することであった。2か所の研究協力施設で、2名の看護職者(助産師)によって、11名の研究協力者に対し決定援助プログラムの提供がなされ、7名の産後1か月のインタビューが終了した。統計学的分析には、十分な数が確保されていないが、現在のところ以下のような結果が確認されている。 1)決定に関する葛藤の軽減:決定に関する葛藤スコア(Decisional conflict score) の平均値は、2.73から1.95へと有意に軽減した(t値:-5.201, p< .0001)。 2)知識:知識スコアの平均値は、6から9.64へと有意に増加した(t値:5.072, p< .0001) 3)7名の産後のインタビューから、助産師の意思決定支援については、「医師に尋ねられないことも気軽に質問できてよかった」「助産師との面接を通して、自信をもって出産に臨むことができた」などの感想がきかれた。出産に対する満足については、自らの最終決定を含めて、満足度の平均は7.7点(SD 2.2)と高値を示した。しかしながら、望みどおりの選択とならず、術後の麻酔の副作用で頭重感、嘔吐が継続した女性から、自然出産できなかったという失望感が語られた。平成25年度は、引き続き研究協力者を増やしながら、介入研究を継続していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の計画は、研究倫理委員会の承認を得て、臨床において看護職者による決定援助を遂行することであった。2か所の研究協力施設を得て、おおむね順調に進めることができている。しかしながら、対象者を増やすために、数か所の病院施設に協力を依頼したが、協力が得られなかった。そのため当初予定したサンプル数の確保は難しい現状である。今後さらに協力施設を探し、研究協力を依頼したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、2か所の病院施設の看護職の協力を得て、連携をとりながら、介入研究を実施している。今後、さらに研究協力施設を開拓しながら、看護職による決定援助の効果について、明らかにしていきたいと考えている。また臨床での研究協力者である看護職者と介入時における情報を交換しながら、対象者から受けた質問に対する対処について情報を共有していきたいと考えている。それをもとに看護職者による意思決定支援ガイドに反映していく予定である。さらに看護職者による介入効果については、実際の看護職による支援内容を分析しながら、対象者のニーズの把握、ならびに看護職に求められる支援のあり方について分析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究においては、4箇所の病院施設に研究協力を求め、平成24~25年度にかけて、60名の研究協力者の確保を予定していた。しかしながら、現在までの研究協力施設が2施設にとどまったことから、当初予定していた研究協力者数が確保できていない状況である。そのため、病院施設の研究分担者ならびに研究協力者へ支払う謝金の支出が少なかったことから、平成24年度の残額(863,773円)が生じた。また分析のために購入予定であったソフトの購入を次年度に繰り越したことも、残額が生じた理由である。 平成25年度は、あらたな協力施設を開拓しながら、研究協力者の数を増やし、引き続き病院施設での介入研究を実施する。そのため研究協力施設への謝金、病院施設の研究分担者(看護職者)、研究協力者(母親)への謝金ならびに研究分担者(看護職者)との打ち合わせ会議の必要経費として、研究費を使用する予定である。 また前年度に実施した「帝王切開後の出産選択における意思決定支援の実態調査」の結果、女性に対し、分娩方法の選択に関する情報が十分に提供されているとはいえない現状であった。そのような状況の中、一部の看護職者は、情報提供の在り方や選択に迷う女性への支援の難しさを感じていることが明らかとなった。今後看護職者としての意思決定支援を考える上で、医師との連携は不可欠である。そのため医師との連携を図りながら、女性の意思決定の支援を行っている海外での取り組み状況を学ぶために、海外の病院視察を計画している。現在病院については検討中である。
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