2011 Fiscal Year Research-status Report
周産期喪失後の危機的状況を夫婦で歩み新たな家族をつくる物語
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23593341
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Research Institution | St. Luke's College of Nursing |
Principal Investigator |
蛭田 明子 聖路加看護大学, 看護学部, 助教 (80584440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 尚子 静岡県立大学, 看護学部, 准教授 (50285053)
堀内 成子 聖路加看護大学, 看護学部, 教授 (70157056)
實崎 美奈 聖路加看護大学, 看護学部, 助教 (80412667)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 周産期喪失 / グリーフ / 家族 / 語り / 物語 |
Research Abstract |
本研究は、周産期喪失後の家族の危機的な状況における夫婦の歩みを、夫婦の語りから家族の物語として構成し、記述することを目的に行う。これにより、当事者夫婦、夫婦を取り巻く社会の人、医療者が、夫婦の物語にアプローチすることができるようにすること、及び、夫婦に対する医療者の支援のあり方を検討することを目指している。本年度は、下記のように研究をすすめた。1.文献検討を行った結果、母親である女性だけをケアの対象とするのではなく、家族を対象にケアをすることが勧められてきている一方で、グリーフのプロセスの中で夫婦の間にどのような相互作用があり、どのようなサポート/介入が望まれるのかは、国内・海外共にその根拠が十分に示されていないことが分かった。2.国内におけるケアの実態を知るために、ケアを実践している医療者よりヒアリングを行った。その結果、男性のグリーフに意識的に目を向けてケアを行っている医療者は極めて少なく、夫婦の間で男性は女性のサポート役割を担うものとして捉えられている傾向が強かった。また、その必要性が分かっても、具体的にどのように介入していけるのか戸惑っている医療者が多かった。これは、研究者が周産期に子どもを亡くした両親のためのセルフヘルプ・グループで出会う夫婦のケアニーズが充足されていないことを示唆している。3.方法論に関しては、現在検討中である。夫婦一緒にインタビューを行うことが実現可能であり、妥当であるのか等、検証を交えて具体的な検討をするには本年度至らなかった。しかし、先述のセルフヘルプ・グループにおいてフィールドワークをしながら、インタビュー内容の検討を現在行っている。 以上、本年度は、本研究の遂行が夫婦に対するサポート/介入を喚起・具体化する、意義あるものであることを改めて確認した。今後は方法論の検討と共に、インタビューガイド作成に早急に着手していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度計画よりも進行が遅れている理由は、方法論の検討が十分にできなかったためである。その要因として、予定していた会合を本年度もつことができず、夫婦を単位としてケアを実際に行っている臨床家(看護師・助産師及びカウンセラー等)と交流・意見交換をすることができなかったことや、分析方法の検討のために意見をもらう予定であった外部アドバイザーと、日程の調整ができなかったこと等があげられる。また、フィールドにおいて夫婦に出会う機会が少なかった。 よって方法論全体の検討が今年度は十分にできず、インタビューガイドの作成にも至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度研究計画が滞った方法論の検討を早急に行い、インタビューを実施していく予定である。 夫婦に対するサポート/介入に経験豊かな臨床家と意見交換を行う機会を既に設定しており、夫婦へのインタビューの可能性や方法を具体化していく。 また、本年度は子どもを亡くした両親のセルフヘルプ・グループのネットワークを積極的に活用することを控えたが、今後はネットワークを活用してフィールドを拡げ、子どもを亡くした夫婦に出会う機会を増やし、プレインタビューを経てインタビュー開始につなげていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、夫婦のサポート/介入に経験豊かな臨床家との交流を行う機会がもてず、そのために予算計上していた旅費が大きく残った。その結果、次年度は160万の研究費を使用見込みである。 次年度はまず、本年度の積み残しである臨床家との交流のために海外に行く予定であり、旅費として50万使用する。また、インタビューを開始していく予定であり、研究協力者となる夫婦への謝金や、テープ起こしの研究補助者への謝金などで70万使用予定である。さらに、データ管理のためにパソコンを購入するため、設備備品費として20万、その他会議費等で20万の使用予定である。
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