2011 Fiscal Year Research-status Report
重度肢体不自由児の成人移行期における父親役割の明確化と看護支援プログラム開発
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23593350
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
竹村 淳子 大阪医科大学, 看護学部, 准教授 (00594269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泊 祐子 大阪医科大学, 看護学部, 教授 (60197910)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 肢体不自由児 / 成人移行期 / 父親 |
Research Abstract |
本研究の目的は、重度肢体不自由児の成人移行期に父親が果たす役割を調査し、父親の力を引き出す介入モデルを開発することである。研究の構成は、(1)重度肢体不自由児の成人移行期における課題を把握するための文献検討、(2)成人移行期の重度肢体不自由児をもつ父親への調査、(3)プログラム作成、(4)介入の評価とした。 今年度は、重度肢体不自由児の成人移行期における課題の把握として、思春期以降の障害児がもつ課題と、家族への看護支援の実態についての文献検討を行なった。その結果、学校卒業を控えた頃は、どの親も進路選択について悩みを抱えていた。重い障害があっても、子どもの能力に応じた進路を選択したいというニーズと現状の落差に困難を感じていた。また、障害の特性から思春期頃から二次障害等健康面の悪化が問題になり、ある程度獲得した機能が衰えることから、機能向上・維持を願う親の期待と逆の問題が生じ易い。現在の支援に関しては、障害が発見された時点での早期介入、多職種による関わりなど、手厚い面がある一方で、福祉サービスの利用方法とニーズが合致していないことがわかった。特に、障害の特性からくる健康上の課題は、生活を脅かす深刻な二次障害の発症が成人移行期に起こりやすく、障害児の社会参加に影響が大きいことから、看護職が介入する支援では、健康管理を核にしたプログラムを開発する必要がある。また、文献からは、多職種による介入は、専門的関わりが期待できる反面、当事者や家族の依存を生むこと、当事者家族のコントロール感を失わせるという報告があった。このことから、家族を主体に、家族のもつ力を引き出すという立ち位置でのプログラムが必要であると示唆を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関連文献の収集が比較的早く進み、また、面接を実施するにあたっての関連施設への訪問によって、本研究への理解が得られ、研究協力への内諾が得られたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
重度肢体不自由児の成人移行期には、思春期頃からの二次障害等深刻な健康問題を抱えての社会参加のあり方を検討し、親の役割を見出す必要がある。したがって、次の段階の研究として、予定していた面接調査を行う。 看護職者が行う支援を考えるため、第1段階の研究で明らかになった健康問題をもつ重度肢体不自由児(重症心身障害)をもつ親が、どのように困難に対処し、いつどのような支援が役立ったのかを明らかにしていく。対象は、成人移行期にある重度肢体不自由児をもつ家族で、子どもの二次障害等の健康問題を経験した親とする。家族の強みの獲得プロセスを質的研究方法によって明らかにしていく。 現在、倫理申請を行なっているが、審査承認後、速やかに研究対象者が通う医療施設長に依頼し、紹介を受けて面接を開始する予定である。研究対象者は、20名程度を予定している。面接終了後、音声データを起こし、質的研究方法の手順に従って分析を進める。今年度中に、分析した結果をまとめ、健康問題のある成人移行期の重度肢体不自由児(重症心身障害)をもつ親の困難に対する支援策の原案を考案する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
旅費等に使用する金額として、400000円の使用を計画している。その内容は、各施設長への依頼および20名程度の研究対象者への面接のため、近畿、中国地区への旅費発生すること、また、研究成果の発表として、学会(東京、岡山)への旅費が必要である。 人件費・謝金等では、105000円の使用を計画している。その内容は、データ等の資料を整理補助並びに論文の英訳校正に支払う予定である。 その他として、335000円の使用を計画している。主に研究対象者や施設長との通信費、録音のテープ起こし、印刷費の経費として使用する。 物品費として、260000円の素養を計画している。その内容は、データ処理に必要なソフトの購入と、パソコン関連消耗費、資料収集費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)